出版社内容情報
「ペンキ塗り」は殺しの隠語。米20世紀史の裏で暗躍したマフィアヒットマンが壮絶な半生を自ら語る映画化原作ノンフィクション
内容説明
敬虔なカトリックのシーランが、なぜマフィアのヒットマンとなったのか。彼はなぜ親友を手にかけねばならなかったか。殺されたホッファは裏社会の何を侵犯したのか。彼らとケネディ兄弟を結ぶ確執とは…JFK時代の裏で蠢く、『ゴッドファーザー』さながらの実在のアウトローの群像を、シーランの信を得た法曹界出身の作家が描く。M・スコセッシ監督、R・デ・ニーロ、A・パチーノ主演のNETFLIX超大作映画原作。
目次
檻のなかを行きつ戻りつする
金のかからないものはない
ひと働きする者を必要としている、ただそれだけだ
ジミーの流儀ではない
地獄が解きはなたれる
一九七五年七月三〇日
家にペンキを塗る
全員が血を流すというわけだな
容疑者たちは罪をまぬがれたわけではない
秘密厳守の誓約のもとで
著者等紹介
ブラント,チャールズ[ブラント,チャールズ] [Brandt,Charles]
ニューヨーク生まれ。ブルックリン法科大学で法学博士号取得。司法局に勤務し、デラウェア州検事総長代理にまでなったのち、作家に転じる。ノンフィクション/フィクションの著書多数
高橋知子[タカハシトモコ]
甲南大学文学部卒、英米文学翻訳家。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
74
【「男祭り週間」参加】下巻では、ジミー・ホッファとギャングたちの亀裂が鮮明に描かれていく。どんなに仲のいい友人であっても、仕事対象となってしまったら、その仕事を引き受けないわけにはいかない。断れば彼とともに自分も殺されるだけだから。ジミー・ホッファだけでなく、フランク・シーランもまた、過酷な裏社会の犠牲者だった。まるで映画の中の世界のような話。だが、こういった人々が存在した時代が確かにあったのだ。2020/05/21
hikarunoir
7
本編を占める語り手の話がグルーヴィな為聞き手の地の文で韻律が崩れるも、後記が同文体で長く、が知り得るマフィア知識の総和を問われる様で大満足。2022/01/30
たみき/FLUFFY
6
前半に出てくる「ダラスの件だ」という、ラッセルの一言に震える。そして、ホッファがフランクへ明かした、フランクがとある飛行場でパイロットに渡したバッグの中身が何に使われたかという記述。そして、ホッファ失踪の真実とは。本編のクライマックスの他、著者による本作の制作秘話に加えて、新たに出会った人から得た事実が、フランクの告白を裏付けしていく。これまでの認識以上に、当時のアメリカの出来事で後に歴史の一部となるものに、彼らが深く関わっていたという点に脅威を感じる。フランクはおそらくずっと「兵士」だったのだろう。2019/11/19
紙魚
3
50-70年代のアメリカではマフィアの存在が社会に深く根付いており、ケネディ(民主党)もニクソン(共和党)も大統領選挙においてはマフィアからの「後援」を受けていたようだ。なんともはや。それから60年(たったの60年)ほど経過した現代ではどうなっているだろうか。そういえば、作中に若かりし頃のジョー・バイデンも出てきた。何でもすっぱ抜かれたスキャンダルを握りつぶすように労働組合(ほとんどマフィア)に依頼して見事当選したそうな。なんともはや。2020/11/23
うたまる
2
「おれは83年間、地獄のような日々を送り、何人かを叩きのめした。それがおれのしたことだ」……”臨終の告白”でジミー・ホッファを撃ったこともケネディ暗殺に関わったことも認めたシーラン。彼の死と軌を一にしてマフィアもほぼ壊滅したとある。それはその通りなのだろう。しかし、アメリカの中のマフィア的な部分はそのまま温存されてはいないか。不法移民につけ込む搾取的賃金格差、健全な投資から懸け離れた詐欺的金融工学、恣意的な訴訟や認定による日本企業への懲罰的制裁金。金のためならなりふり構わず何だってやる国だと思ってる。2021/04/07