内容説明
41万語以上の収録語数を誇る世界最大・最高の辞書『オックスフォード英語大辞典』(OED)。この壮大な編纂事業の中心にいたのは、貧困の中、独学で言語学界の第一人者となったマレー博士。そして彼には、日々手紙で用例を送ってくる謎の協力者がいた。ある日彼を訪ねたマレーはそのあまりにも意外な正体を知る―言葉の奔流に挑み続けた二人の天才の数奇な人生とは?全米で大反響を呼んだ、ノンフィクションの真髄。
目次
1 深夜のランベス・マーシュ
2 牛にラテン語を教えた男
3 戦争という狂気
4 大地の娘たちを集める
5 大辞典の計画
6 第二独房棟の学者
7 単語リストに着手する
8 さまざまな言葉をめぐって
9 知性の出会い
10 このうえなく残酷な切り傷
11 そして不朽の名作だけが残った
著者等紹介
ウィンチェスター,サイモン[ウィンチェスター,サイモン][Winchester,Simon]
オックスフォード大学卒業後、新聞記者となり、ワシントン、ニューヨーク、ニューデリーなどの特派員をつとめる。現在はニューヨークとロンドンを往来する生活を送りながら、作家・冒険家として活躍中
鈴木主税[スズキチカラ]
1934年生、翻訳グループ牧人舎代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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trazom
100
全12巻40万語を収録するオックスフォード英語大辞典(OED)の誕生秘話。主人公は、大事業の編纂主幹であるマレー(博士)とアメリカ人元軍医大尉のマイナー(狂人)。OEDの編纂が、篤志文献閲読者という一般の協力者によって支えられていたと知る。その一人として、精力的に文献を読み用例を整理して編集作業を支えくれるマイナーの正体を、マレー博士が知るに至る経緯、そして知った後の心の交流など、人間ドラマとしても面白く読める。ヴィクトリア朝の、イギリスが最も輝いていた時代を背景とする良質のノンフィクションだと思う。2021/08/20
lily
97
どんな環境下でもどんなに病んでもひとつのことに誠実にひたすら打ち込める狂気には敵わないな。勇気もらえる人も多いんじゃないかな。金銭的余裕に救われている部分は外せないけれど。自由な時間はいくらでも欲しい。2021/04/16
アナーキー靴下
68
OED編纂にまつわる物語。映画化の影響か、図書館予約でかなり待ったが、その甲斐十分の面白さ。ストーリーもさることながら、技巧に目がいくというか、謝辞にある「ウィリアム・マイナーという人間の感動的な物語を語ることによって、ある種のプリズムができ、それをとおして英語辞典の編纂史というさらに偉大で魅力的な物語を見ることができる」に尽きる。語り手の上手さ。飲み屋で仕事の哲学話されても聞くに堪えないけれど「プロフェッショナル仕事の流儀」観たら感動する、みたいな。ノンフィクションにもいろいろな見せ方があるんだな。2021/04/02
涼
63
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2024/02/post-dde1f3.html 難しい本かなと警戒して臨んだのですが、読んでしばらくして引き込まれました。2024/02/28
藤月はな(灯れ松明の火)
56
世界最高峰の語学数を誇る辞書が誕生するには育ち、その後の人生が真逆だが語学にはめっきり強い二人の男が携わっていた。一人は貧しかったが独学で語学の博士となったマレー、もう一人は裕福な軍人だが幼少時の性を抑圧する厳格な教育、軍役で強迫的な被害妄想を抱くようになってしまったマイナー。光と影のような二人。しかし、最後の付記で読者はもう一人、辞書が誕生するのにはもう一人、本当に忘れられてしまった人物のことを思い出し、ハッとすることになる。それを運命の悪戯と片づけるのは果たしていいものだろうか・・・・。2013/08/27
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