内容説明
1973年秋、本書の著者マシーセンはヒマラヤ山中に分け入った―世界でも稀有な動物、雪豹を見たいとの一念に駆られて。険しい山峡を縫っての登山行は困難を窮め、現地のシェルパたちも彼を振り回すばかり。しかし雪豹が現われるというクリスタル・マウンテンに着いた彼は、思いがけない内面の変化を経験する…絢爛たる自然描写と、極限状態で揺れ動く人間の内面描写を見事に重ね合わせた、ネイチャーライティングの最高峰。全米図書賞受賞。
目次
序章
西へ
北へ
クリスタル・マウンテンにて
家路
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
凛
12
ヒマラヤの奥地で雪豹を捜し求めると同時に、彼自身の内宇宙の奥地でナニカを探求する話。高地でのサバイバルや、仏教・ヒンドゥー教・ボン教などの知識を駆使した彷徨はどちらにおいても、冒険者そのものだ。本書のおかげでわたしが、夢か現実かあやふやなものに強く惹かれる理由が判った。また、次の旅(読書)の目的地の検討がつきました。これはめるくまーる社<精神とランドスケープシリーズ>の一作目。たまたま手に取った本が三冊ほどこのシリーズだったので掘る事にした。予想通り肌に合う。ただの動物学者物を期待すると辛いのでご注意を。2013/11/04
フォレスト
0
シリーズ名(出版社が勝手につけた関連カテゴリー区分としての名称)の「ライフ」は“生命”だと思ったんですが実は“人生”だったんですね。そりゃカバーの内容概略を注意深く読めばそういう事かと分かるが、それは後知恵だ。宗教・禅・ドラッグ体験・亡くした妻を思っての悲しみ。目的は雪豹だが、心はそこにあらず、眼前の風景から離れ、思考は過去と宗教的思索へと没入する。自然紀行にはなっていますが、メインはそこではない。(分かっていて読むなら優れた本でしょうけど)動物の生態の話を期待してしまった私にはしんどい本でした。2010/10/13
koma250
0
泣いた。
コミジ
0
チベットへの冒険を通じて思索を深めるというよりも、東洋思想への憧れ、愛する人を失った喪失感、冒険に伴う身体的精神的労苦が入り混じっている印象。2023/09/06