内容説明
男を事件と結婚に巧みにひきこむグレース・ケリー。あくまで冷酷非情なブロンドの悪女、バーバラ・スタンウィック。拳銃を持つと抑えのきかなくなるペギー・カミンズ。男への軽蔑をかくそうともしないジャンヌ・モロー。拳銃を仲介にボギーの理想的な相棒となるローレン・バコール。―映画に美女はつきものであり、美女すべからく犯罪的である。そして犯罪はいつも魅力に満ちている。「映画という夜ごとの美女に魅せられてきた」著者が、スクリーンの光と影のつくりだすめまいにも似た快楽を、フィルム・ノワールと悪女の系譜を通して語った、あまりに映画的な映画史。
目次
グレース・ケリーとヒッチコック映画の女たち
女の犯罪、女の活劇―〈フィルム・ノワール〉断章
バーバラ・スタンウィックの殺人保険
白いドレスの女―ラナ・ターナー
ジャン・ギャバンを殺したふたりの女
牝犬と獣人―ジャン・ルノワールの人間喜劇の女たち
哀しみのシルヴィア・シドニー
拳銃に魅せられた女―ペギー・カミンズ
レスリー・キャロンに明日はない
エヴァ・ガードナーとパンドラの夢
キム・ノヴァクはバッヂをつけていた
暗黒街の女―シド・チャリシー
帰らざる娼婦―シモーヌ・シニョレ
ジャンヌ・モローの匂い
ジェイムズ・ハドリー・チェイスの悪夢のような女たち
アンナ・カリーナの犯罪―ゴダール版さらば愛しき女よ
黒衣の花嫁―トリュフォー的フェミニズム
女鹿の饗宴―シャブロル的殺意の週末
ブリジッド・バルドーは探偵ごっこがお好き
ミレーユ・ダルクと暗黒街の彼女のボーイフレンドたち
罪ある女―ヒルデガルト・クネフ
アンジー・ディッキンソンの黄色の誘惑
ローレン・バコールとホークス的美女群