出版社内容情報
【目次】
内容説明
1938年、粛清の嵐は〈メトロポール〉にも及んでいた。それでも、ホテル内レストランの給仕長となった伯爵は最高のもてなしを続けていた。彼を支えたのは、少女ソフィアとの暮らしだ。狭い屋根裏にあっても、ソフィアが世界の広さを想像できるように心を砕く伯爵。二人の日々は、仲間に見守られ、ずっと続くかに思われた。だが、変化の時は突然やって来た。愛するもののため、伯爵は人生最大の賭けに出る。
著者等紹介
トールズ,エイモア[トールズ,エイモア] [Towles,Amor]
1964年、ボストン生まれ。イェール・カレッジ卒業後、スタンフォード大学で英語学の修士号を取得。20年以上、投資家として働いたのち、現在はマンハッタンで執筆に専念している。2011年に小説第1作『賢者たちの街』を発表した。2016年、本書『モスクワの伯爵』を刊行すると、大きな話題となり、全米で200万部を突破、ロシアを含めた30以上の言語で出版される世界的なベストセラーとなった。2024年、ニューヨーク・タイムズ”読者が選ぶ21世紀のベストブック”に選出され、ユアン・マクレガー主演でドラマ化された
宇佐川晶子[ウサガワアキコ]
立教大学英米文学科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ばう
63
★★★★最高に面白いエンターテイメント小説を読み終わった気分。このまま穏やかに死ぬまでホテルで過ごすことになるのかと思いきや、友人ニーナの娘を預かることになってから物語は俄然動き出す。後半、ハラハラしどおしで今もまだドキドキが止まらない。豪奢なスイートルームからホテルの狭い屋根裏部屋に追いやられても紳士であり続けたロストフ。「自分の境遇の主人とならなければ、その人間は一生境遇の奴隷になる」「叡智のもっとも確かなしるしは、常に朗らかであること」伯爵がソフィアに与えた 2つの助言、私も心に留めておきたい。2026/02/28
mayumi
24
ニーナの娘ソフィアの面倒を見るようになって、伯爵の世界は動き出す。彼を取り巻く友人達との交流もいい。人生の大半をホテルに軟禁状態だった伯爵が、ソフィアの世界を広げるためにある決断をする。時代の波に翻弄されながらも、嘆くことなく人生を豊かに生き、愛する者のために行動に出た伯爵。奪われたのは外の世界であって、人生そのものではなかったのだと思った。温かい読後感。2026/02/27
本の蟲
14
軟禁生活も10年を過ぎた伯爵。現在の境遇に折り合いをつけた彼は、ホテル内レストランの給仕として、党幹部や海外要人の信頼を得ていた。そんな中、かつてホテル滞在中、伯爵の小さな友人だった女性ニーナと再会する。大人になったニーナが彼に頼んだのは…。ソビエトの理想と現実。強制労働と飢饉と戦争。外部から隔絶したホテルでも、伯爵の日常は激変する。いやー面白かった。小さな希望の成長と外へ踏み出す勇気。軟禁生活で育まれた、立場を超えた友情が結実するラストが御美事。個人的には党幹部との西側政策勉強会(映画観賞会)が大好き2026/03/17
アイ
2
1922年から30年に及ぶホテル幽閉生活。重苦しいロシアの激動期を、伯爵の美学やユーモア、優雅なホテル暮らしというフィルターを通して描いているので、驚くほど読みやすい。預かり子ソフィアの成長を「おろおろ」見守る伯爵の姿、そして旅立つ彼女へ贈った「叡智とは常に朗らかであること」という助言。日常の家族の物語こそが人を励ますという彼の信念に、深い愛情を感じて胸が熱くなりました。アンナとの「不便さの中にこそ幸せがある」言葉のやり取り、面白かったし今の私にも温かく響きました。このホテルに行ってみたい!2026/02/26
Ryo0809
1
最終盤、ついに住み慣れたホテルを脱出する伯爵。それを可能にしたのは、軟禁生活で知り合った多くの人々や宿泊客。何よりも、ニーナが遺した娘ソフィアの将来を賭けた、まさに乾坤一擲の大勝負だったからだ。名画「カサブランカ」のシーンが、味のあるスパイスとなって本作品を彩るように、幾多の名言が散らばり、作品に深みを与える。最後の一文で明かされる伯爵の最後の落ち着き先が盲点を突く。作品世界に吸い込まれるような読後感とともに、大きな満足が得られた。2026/03/10




