出版社内容情報
CIA職員シェーンの最後の任務は中東バーレーンの反政府運動を探ること。だが、爆破テロが国王の自作自演である疑惑が浮上し……
内容説明
2012年、バーレーン。引退目前のCIA職員シェーンは、最後に大きな成果を挙げたいという野心を秘めていた。年下の支局長に、反政府派の背後に潜むイランの陰謀を探る命を受けた彼は、反政府派による爆破事件が政府の自作自演である可能性に気づく。だがそれを支局長に報告した直後、本部から早期退職勧告の通達が。スパイとしての矜持と生き残りをかけ、シェーンは真相を追うことに…世界で激賞の新時代スパイ小説。アメリカ探偵作家クラブ賞、バリー賞、国際スリラー作家協会賞、マカヴィティ賞受賞!
著者等紹介
ベリー,I.S.[ベリー,I.S.] [Berry,I.S.]
ヴァージニア大学法学部とハバフォード大学卒の作家。CIAの作戦担当官として、戦時中のバグダッドなどで勤務したのち、2023年に本書『孔雀と雀 アラブに消えゆくスパイ』で作家デビュー。ヨーロッパと中東各地を移り住み、“アラブの春”の時期にはバーレーンに2年間滞在した。ワシントンDC郊外で育ち、現在は夫と息子とともにヴァージニア州在住
奥村章子[オクムラアキコ]
青山学院大学文学部英米文学科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒロ
97
これまで読んできたスパイ小説とはまた違う感じの内容でした。こっちの方がよりリアルなのかなと思わされたし、特に人間関係で色々と苦労しているのは親近感が湧きました。バーレーンという普段馴染みのない国の話で、この国の抱える問題がスパイという視点から次々に明らかになって、それもまたこの話の面白い所だと思います。そしてミステリーとしても最後にはやはり驚きの展開が待っていて、最初から最後まで楽しく読めたと思います。2025/04/10
ナミのママ
86
壮大かつ重厚そして見事な回収。多数受賞に間違いない大作だ。2012年のバーレーン。読み始めてすぐ、この時代設定が重要な手がかりになると思い調べた。主人公は引退目前、CIA中東分析局に所属するシェーン。最後に大きな成果を上げたいと思いつつ反政府運動を探っている。中盤まで民主化運動がよくわからず苦戦しながら読んだが、以降の展開はまさに騙し合いの連続。誰が敵か裏切り者か。政治革命に巻き込まれていくシェーンから目が離せない【エドガー賞・国際スリラー作家協会賞・バリー賞・マカヴィティ賞】最優秀新人賞4賞他、7冠受賞2025/03/26
わたなべよしお
24
日常の中、誰も信用できないスパイの虚々実々が描かれる。そこで、現れてくる事実はなかなか面白い。が、ちょっとわかりにくいかなぁ。大筋では分かるのだが、細部が分からん、という感じかなあ。だから、最後に現れてくる現実の衝撃度がイマイチになった。これは読解力の問題なのか?それとも?2025/05/10
もち
14
「私は自分が無能なスパイだとは思っていなかった」◆反政府活動が燻るバーレーン。老いた諜報員のシェーンは、地道な活動を重ね、謎めく恋慕に焦がれつつ、陰謀の糸を手繰っていく。袋小路で、誰を裏切るか――。春と冬を見送った、孤高のスパイの物語。■最初、ミステリとしての魅力が分からなかった。多少の違和感はあれど出来事は地味で、劇的な動きもない。極限下の恋愛の輝きの方が大きかったから。ところが。決意を固めた一点から、少しずつ歯車はズレはじめ、怜悧に噛み合い、怒涛の突破劇と鬼神の所業が立ち現れる。2025/06/22
しゅー
13
★★書評でグレアム・グリーンやジョン・ル・カレが引き合いに出されるだけあって、古典のような趣きのあるスパイ小説だった。中東のリアルな空気感といい、きれいごとの一切ない人物描写といい、エンタメではなく文学寄りの空気を感じる。ル・カレのような省略が駆使されるので途中で筋書きについていけない場面も正直言うとあった。気にせず読み進めていくと、なかなか衝撃の結末へ。全体像がわかってから再読したほうが楽しめそうだが、いまは心の余裕がないのでしばらく寝かせよう。2025/06/10
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