出版社内容情報
タイラーが作ったルールのもとで、ぼくらは互いに殴り合う。世界の若者が熱狂した怪作
内容説明
おれを力いっぱい殴ってくれ、とタイラーは言った。事の始まりはぼくの慢性不眠症だ。ちっぽけな仕事と欲しくもない家具の収集に人生を奪われかけていたからだ。ぼくらはファイト・クラブで体を殴り合い、命の痛みを確かめる。タイラーは社会に倦んだ男たちを集め、全米に広がる組織はやがて巨大な騒乱計画へと驀進する―人が生きることの病いを高らかに哄笑し、アメリカ中を熱狂させた二十世紀最強のカルト・ロマンス。
著者等紹介
パラニューク,チャック[パラニューク,チャック] [Palahniuk,Chuck]
1962年2月21日、米ワシントン州パスコ生まれ。オレゴン大学でジャーナリズムを学んだのち、整備士として働きながら1996年に『ファイト・クラブ』を発表。以降、発表される作品すべてがベストセラーを記録している
池田真紀子[イケダマキコ]
上智大学法学部国際関係法学科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
387
感想の書きにくい小説だ。文庫版の解説を書いてくれる人もいなかった(?)ようで、翻訳者が「あとがき」を書いているのだが、「先にあとがきを読む人も多い」などと言い訳をしながら、小説の内容について語ることを回避している。さて、ファイト・クラブ。それは男同士が1対1で向かい合い、文字通りベア・ナックルで殴り合う同好会だ。およそ、これほどに非生産的な行為があるだろうか。そう。これはいたってアナーキーな小説なのだ。人格そのものだって破壊されてゆく。自己同一性も怪しくなる。新しい文学?少なくてもこれまで見たことがない。2017/03/02
遥かなる想い
159
平凡な会社員だった ぼくが語る ぶっ飛んだお話である。 現代のアメリカの暴力を描く作品らしいが、 正直 あまり入り込めなかった。 ファイト・クラブの 設定が少し 奇妙であるため、軽く読めるのは 嬉しいが、 著者は何を描こうとしたのだろうか? ぼくと タイラーのよくわからない関係が 微妙な雰囲気を醸し出してはいるが… ひどく現代的な 展開だが、苦手な範疇の作品だった。 2019/03/27
のっち♬
144
完璧で安全な人生から救われたい不眠症の「ぼく」は映写技師と素手の格闘を楽しむクラブを作る。無駄を削ぎ、映像イメージの断片をリズミカルに重ねる文体は、混沌とした記憶と意識の交錯を力強く表現している。大胆不敵で自信に満ちたタイラーも魅力的で、ギャッビー的ロマンスとしても読ませる。自己同一性を失い、徹底的な破壊衝動が自他へ向けられる物質社会の病巣を扱ったテーマは今日的で、レイモンドを脅すシーンが象徴的。眠らせないことで生も死も昏睡させる精神的大恐慌、勝つか負けるかの「闘争」からの「逃走」の示唆はある種の境地だ。2022/10/13
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
117
安定した仕事とコンドミニアムの生活に満たされない『ぼく』は眠れなくなった。「おれを力いっぱい殴ってくれ」と言うタイラーと出会い、二人で始めたファイト・クラブは問題を何一つ解決しなかったが、何一つ気にならなくした。規則第一条「クラブについて口にしてはならない」は守られず、倦んだ男たちを引き寄せ、組織は拡大していった。やがてメンバーの暴力への衝動は社会に向けられていく……。「現代風グレート・ギャツビーを描いた」と作者は記しているが、テロリスト集団が生まれる過程のようにも読め、破滅的なラブストーリーでもある。2016/05/26
Tαkαo Sαito
112
遂に、、、読書メーターを始めてから約2年半、200冊読了しました!!!長かったです、、。200冊というのが個人的なマイルストーンだったので達成感と嬉しさがあります。そして、200冊目のファイト・クラブですが、導入部分が訳が分からなかったのですが、気づいたら1日で読み終わっていました。ただの暴力話ではなく、自分はどう生きていくのか、人生とは何なんだと主人公が見つけようとする話です。教団Xにも近い部分もありました。久しぶりにこれはやばいって思う小説でした。2015/09/23