内容説明
「高度を維持せよ。いかなる状況においても上昇および下降を禁じる」そのメッセージを機に、何の危険もないはずの輸送任務は一変した。テロの負傷者をアフガニスタンからドイツへ空輸する輸送機に爆弾が仕掛けられ、着陸不可能となったのだ。機長のパースンは老朽機を必死に操り、わずかな可能性を求めて苦闘するが、その行く手には多くの障害が立ちはだかる…『脱出山脈』に続き、極限の闘いを熱く描く冒険小説の白眉。
著者等紹介
ヤング,トマス・W.[ヤング,トマスW.][Young,Thomas W.]
2010年の小説デビュー作『脱出山脈』で一躍注目を浴びた。アフガニスタンおよびイラクで従軍したほか、多くの作戦に参加した。機関士としてC‐5ギャラクシーおよびC‐130ハーキュリーズで、約四千時間の飛行経験を持ち、その間に約四十カ国の上空を飛んでいる。その功により、航空章を二度、航空業績章を三度、空軍戦闘行動章を一度、授与された。またAP通信のライターおよびエディターを務め、民間航空会社でも副操縦士として勤務した
公手成幸[クデシゲユキ]
1948年生、1972年同志社大学卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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absinthe
132
面白かった!!Jヒギンズ『脱出航路』やマクリーン『女王陛下のユリシーズ』のように続く困難を乗り越えて目的地への絶望的な戦いを描く。航空機に爆弾が仕掛けられてとが解ったのは離陸直後、爆弾の解除を空中で行わなければならないのだが、エンジントラブル、燃料枯渇に暴風雨のような危険な自然現象が続き、フライトは、思いつく限りの難題を一通り揃えてみましたと言う感じのクソ無理ゲー。多量の負傷兵を載せているため機外脱出も困難。限られた領域での戦いに手に汗握る。前作も凄かったが今作はそれを上回る。2024/01/09
goro@the_booby
42
大型輸送機C-5ギャラクシーでアフガニスタンより負傷者を運ぶため離陸したが機内に爆弾が仕掛けられていた。全編このC-5の機内が舞台となりました。前作で生き延びた機長パースンは再びゴールド曹長と一緒になるがまたしても空のサバイバル。おんぼろギャラクシーもさることながら次々に降りかかるトラブルに対処しながら降りられないギャラクシーはどこへたどり着くのか。リーダーは何をしなければならないか道を探ることをあきらめてはいけない。一度こんな飛行機に乗ってみたい。まぁ爆弾は嫌だけどね。2020/02/27
ジョニー
4
負傷者を乗せた大型軍用輸送機に高度を下げると爆発する爆弾を仕掛けられて右往左往する話。メカニック的な知識や描写は詳細であった。人間の描写は前作同様に盛り上がりに欠けるので途中で傷つき死んで行く人がいても感情を揺さぶられない。主人公のペアも冷静な軍人から逸脱しないので2人の先行きに興味が持てないのがシリーズとして弱い。2020/10/31
やすもっち
4
前作の『脱出山脈』より面白かった。前作もそうだけど、ストーリーの派手さに対して、淡々とした語り口?のせいか、あまりメリハリ感がない印象が。登場人物達の性格に現実を全て受け入れた上での粛々とした行動や思考性に共通点があるせいか?全体を通して暗い印象を感じてしまう。その点に慣れてしまえば、十分に面白い。ストーリーはそのまま、ハリウッド映画になりそうな展開なんだけど(^-^;しかし、著者が実際の州軍の航空士だった事もあり、実際に輸送機に乗り込んでいるかの様な印象を受けるのは凄い。★★★☆2013/03/03
Dobject
4
前作よりもパワーアップし、より緊張感が出た一作。主人公のパーソンが機長を務める軍用飛行機にテロリストが爆弾等をしかけた結果、爆弾を処理しないと飛び続ける他ない。飛び続ける中で様々な問題が発生する。ジハーディストの妨害、第三国からの妨害、天候不順、ベトナム戦争から使っている飛行機の様々な不具合。それら全てが間隙無く襲ってくる。これら様々な顕在化したリスク、潜在的なリスクを如何に理性的に乗り越えていくプロセスが明確にしめされているので、ただのガンアクションものと一線を画する面白さを持っている。お薦めです。2012/10/03