内容説明
英国の弁護士ニコラスは、赴任先のモスクワでハンドバッグを奪われようとしている魅力的な若い女性マーシャを助けた。やがて二人は深い関係になり、彼は彼女のおばのアパートを新築のものと交換する法的手続きを手伝うことになる。その一方で彼は、原油ターミナルの建設に銀行から融資をさせる大仕事を進めていた。だが、彼はずるずると犯罪の中に巻き込まれていくことに…現代ロシアの暗部を描く極上のサスペンス小説。
著者等紹介
ミラー,A.D.[ミラー,A.D.][Miller,A.D.]
1974年ロンドンに生まれる。ケンブリッジ大学とプリンストン大学で文学を学び、プリンストン在学中から紀行文の記事を書き始める。その後、ロンドンに戻ってテレビのプロデューサーとして働いたのち、“エコノミスト”社に入社。2004年から2007年に同紙の海外特派員としてモスクワに滞在し、取材のためにロシア国内や旧ソ連諸国のさまざまな街を訪れた。現在はロンドンで同紙の編集者を務めている
北野寿美枝[キタノスミエ]
神戸市外国語大学英米学科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キムチ
40
内容、訳共に凄く読みにくく、正直「楽しんで読んだサスペンス作品」とは言えない。筆者は英国のジャーナリスト。40歳台の入り口で執筆してるらしい…作品の語り手…ボクもロシア滞在の英国人弁護士。仕事内外で関わった女性や老人等との情景を、下部上部、対外の情勢が浮き彫りになるような雰囲気で綴っている。その有り様や温度感をスノードロップになぞらえている訳なのだが。嫌でも、冷戦以降~プーチン体制へ、ロシアの強大化がイメージされ、ロシア語の響きと共鳴し、重苦しい沈鬱な読後感。2015/07/14
アーチャー
17
なんとなく〝こうなるんだろうな〟って思いながら読んでいたら、結局〝こうなっちゃったんだ〟で終わってしまった。なので、衝撃的な展開&結末を期待すると肩透かしかな。ロシアではこんなことがあるんだって割り切って読めば、それなりに楽しめるかも。2013/04/02
惠
6
ロシアは…嫌いじゃない。でも、好きだとも言えない。一言で言ってしまえばカオス。それも思いっきり気が滅入るやつ。そういうところを上手に描いている。実際、著者は見てきたのだろう。だからこそ、気が滅入った。しんどい。2011/09/28
けいちゃっぷ
5
原題の「スノードロップ」とは、冬の間は雪の下に隠されているが、雪解けと共にあらわれる死体。 あるいは、常に身近にありながら見ないふりをしている悪行。 ソ連からロシアになった混乱期にはあちこちであったであろう事件あるいは犯罪。 だが被害者にとってはたまったものじゃない。 物語はロシアで働く英国の弁護士が恋人か婚約者に語る形で進むが、気が付いたときはすべてが終わっていた。 もったいぶったような書き方は悪くないと思うが、いかんせん盛り上がりに欠ける。 ラストは本音だろうが恋人に失礼じゃないかい。 303ページ 2014/04/04
寧々子
5
本の内容紹介にあった「現代ロシアの暗部を描く極上のサスペンス小説」って文章に惹かれて読んだけど、極上のサスペンス小説ではなかった。 随所にこの先、何かが起きるんだろうなって暗示するような文章はあるにはあるけど、そこにたどり着くまでが長いというか緊張感がまるでないんですよねぇ~ たどりつく前に何が起きるのか予想出来ちゃうし! おまけにあの結末って・・・ やっぱり1番、印象に残り興味深かったのはsnowdropのモスクワで用意られる俗語の意味。 ―冬の間に埋もれるか隠されている死体。雪解けによって現われる―2013/02/18