内容説明
からくも殺し屋から逃れたヤコプは、以前窮地から救ってくれた娘リヒモディスを訪ねる。彼女は伯父のヤスパーを紹介した。ヤスパーは、とある教会の首席司祭を務める学者で、ヤコプの話を聞いて彼を助けることを約束する。殺し屋の魔手が迫る中、博識のヤスパーはヤコプとともに事件の調査を進めていく。そして、驚くべき陰謀が明らかに!大反響を巻き起こした『深海のYrr』の著者が放つ、歴史冒険サスペンス巨篇。
著者等紹介
シェッツィング,フランク[シェッツィング,フランク][Sch¨atzing,Frank]
1957年、ドイツ、ケルン市生まれ。大学ではコミュニケーション学を専攻し、卒業後は大手広告会社でクリエーターとして活躍する。その後、ケルンで広告代理店と音楽プロダクションを設立した。その仕事のかたわら小説の執筆を始め、1995年に『黒のトイフェル』で作家デビュー、ベストセラーとなった。その後『グルメ警部キュッパー』などのミステリやポリティカル・サスペンス、ミステリ短篇集を出版し、好評を博す。そして2004年、取材に4年を費やした『深海のYrr』を発表、ドイツ国内だけで200万部を超す驚異的なベストセラーを記録し、わが国でも大きな反響を巻き起こした
北川和代[キタガワカズヨ]
ドイツ文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
57
秘密結社、十字軍遠征と盛り込まれた内容も多岐なら、その闇もかなりドロドロとして深い。興味深い話になりそうなにどんどん尻すぼみになっているのは作者の力量不足か。もう少しこの時代のヨーロッパ史に詳しかったら感じ方も違っていたかも。2023/11/07
とくけんちょ
54
非常に丁寧で読みやすい。その反面、何もかもコンパクトにおさまってしまい、度肝を抜かれるような展開はなかった。歴史的事実をうまく利用して物語を構築しているようだが、貴族の結社が暗躍というには、スケールが少々小さい。最後は尻すぼみ。2021/05/03
キムチ
45
退屈な上巻から一転して、塵芥の様に最後まで人間が輩出してくる・・しかし、背景は見えないまま、トイフェル=悪魔の所業に至る謎が朧気ながら見えた所でエンド。優れた作者成れども、読み手を置いてけぼり。一発屋で終わった所以が見える感じ。漫画にした方が面白いし、全体感が見えて楽しめそう。訳も悪くなく、ミニマムで読むとその情景が彷彿と見え嫌いなテーマじゃないのが惜しいね。我が国も然ることながら太古の時から聖職者という輩は「悪魔と人間」を具有しているように映る。知識はあれど生臭みはそれを上回る2024/02/11
あつぼう
17
上下巻読み終わって思ったのが主人公ヤコプの魅力のなさ。脇役の方が全てにおいて存在感がありヤコプの目立つ所と言えば真っ赤な髪の毛ぐらい。殺し屋との対峙シーンも緊迫感に欠けドキドキしなかった。ここまで執拗に追いつめられてるのに緊迫感がないのは致命傷ですね。壮大な歴史サスペンスを期待してただけに物足りなかった・・・。何度も歴史の勉強をしてる錯覚に陥るぐらい歴史の薀蓄があって堅苦しかったなぁ。本来歴史物は好きやけど、どうもストライクゾーンではなかった。2012/02/19
Tetchy
15
『オリヴァー・ツイスト』のような物語を想像したが、濃厚さに欠けるように感じた。痛いのは物語の主役を務めるヤコプがさほど聡明ではなく、偶然の連鎖で身に降りかかる災難を避けているに過ぎないことだ。そして物語の背景を彩ると思われた大聖堂建設が全く響かない。また物語の主人公はヤコプよりも殺し屋ウルクハートだろう。しかしあとがきによれば、本書は本国ドイツでベストセラーを記録したらしい。ドイツにはよほど面白い小説がないのだろう。まだ見ぬ傑作が山ほどあるドイツ国民はなんとも羨ましい限りだ。2010/05/05
-
- 和書
- 石材の事典 (新装版)