内容説明
モスクワのゴーリキー公園で雪の下から男女三人の射殺体が発見された。いずれも顔面を刃物で削ぎ落とされ、指先も切断されていた。捜査を命じられた民警の主任捜査官レンコは、人類学研究所に被害者の顔の復元を依頼する一方、被害者の遺留品から運命の女性イリーナと出会う。反体制派の彼女に次第に魅かれていくレンコ。そして捜査線上に浮かぶアメリカ人の毛皮商…ソ連社会の暗部をかつてないリアリティで描いた問題作。英国推理作家協会賞受賞作。
著者等紹介
スミス,マーティン・クルーズ[スミス,マーティンクルーズ][Smith,Martin Cruz]
1942年、アメリカのペンシルヴェニア州生まれ。ペンシルヴェニア大学卒。ジャーナリストを経て1970年代から小説を書き始める。1981年にレンコ主任捜査官が活躍する『ゴーリキー・パーク』を発表し、「現代ミステリの最高水準」と絶賛され、英国推理作家協会が贈るゴールド・ダガー賞を受賞した
中野圭二[ナカノケイジ]
1931年生、慶應義塾大学大学院修士課程修了、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
204
ソ連の殺人事件。顔をはぎ取られた射殺死体がこともあろうにゴーリキー公園に。社会主義の空しいスローガンが響き渡る密告社会。権力を笠に着て私腹を肥やす官僚たち。怪しいアメリカ毛皮商人にKGB、様々な壁が立ちふさがるなか、主任捜査官は黙々と捜査を続ける。妻に離婚を迫られる中、美人の反体制派に出会ってしまう。続きが楽しみ。公園周辺は散歩したことがある。当時は地図を意識して見なかったので、どこがどこにつながってたかすっかり忘れたが。2021/08/30
ケイ
122
舞台がモスクワというだけで、面白さが増す。警官が熱心であることが喜ばれるとは限らない。器用に生きる者が利を得る社会。その中で、父の大戦中の成果を利することもせず、ただ己の仕事に忠実にやる男の魅力的なこと! 彼にかかわるアメリカ人達の魅力のなさが、さらにこの男へ色気を与える。感想は下巻で。2017/07/15
harass
72
積読本消化。警察小説。冷戦時代の旧ソ連1977年あたり、モスクワ市のゴーリキー公園で雪の中から三体の死体が発見される。顔を潰され身元不明の彼らの正体と犯人と動機を追う、民事警察の捜査官レンコ。ゆったりとしたテンポに苛立って中断していたが、考え直して再挑戦。旧ソ連時代の市民生活などの豊富な興味深いディテールを楽しめる。歴史的な影を持つ登場人物たちの造形が見事だ。意表を突くというか、先が読めない展開で、なかなか感心した。下巻へ。2017/06/05
扉のこちら側
69
2016年838冊め。【215-1/G1000】頭蓋骨から生前の顔面を復元する世界初の事例にインスピレーションを得て書かれた作品らしい。犯罪小説ではあるが推理小説ではない。ソ連では国内犯罪は民警が、国家の問題はKGBがと役割が分けられていたが、二つの間の摩擦に主人公の民警の主任捜査官は巻き込まれていく。対する国家の腐敗具合を思うと下巻の展開も大変そうだ。2016/10/11
みも
38
ゴールド・ダガー賞受賞作。検索して解説を拾い集めると、世に名高い名作らしい。とある読友さんが「名作でも相性が悪いものがある」とつぶやいておられたのだが、まさに大共感!そんな読後である…。作品か、著者か、翻訳か…原因は不明だが、突如場面が切り替わり、注意深く読み込まないと「?」となり、戻って読み直す羽目になる。口述部では読者に忖度を求める箇所が随所に見られ、勘の鈍い僕は言わんとしている事が汲み取れずストレスに苛まれる。アメリカ人が書いた旧ソ連。ロシア文学に感じるロシアの匂いがしない。下巻には行きません。2017/06/12
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