内容説明
「その私生児は間引くべきね」母親の胎内にいた時から繰り返し侮辱を受け、望まれずに世に生まれ出た殺人鬼。かつて自分をおとしめた連中を次々と殺め、ついに最後の復讐を行なう時が到来した。犠牲者となるべき女を拉致し、いままさに殺さんと喜びに打ち震えていた。一方、ジェルミナル警部は殺人鬼の正体に気づき、最後の犯行を食い止めようとするが…底辺で生きる人々の苦痛と異端の人生を描き切る、比類なき大作。
著者等紹介
フルヴィオ,ルカ・ディ[フルヴィオ,ルカディ][Fulvio,Luca Di]
1957年生まれ。ローマ在住
飯田亮介[イイダリョウスケ]
1974年生。日本大学国際関係学部国際文化学科中国文化コース卒、中国雲南省雲南民族学院中文コース履修、イタリアペルージャ外国人大学イタリア語コース履修(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kaze
5
★★★ 連続皆殺し事件の犯人が誰かという謎解きより、それぞれの登場人物の抱えるトラウマは何かという興味に引かれて読み進んだ感じ。ジェルミナルが己の傷と向き合い克服できたところが一つ目のクライマックス。ディオニュソスの階段とは何かは最後に分かるが、それが分かった時には犯人を憎むことはできなくなっている。ディオニュソスの母親のレミゼラブル感たるや。社会の底辺で生きる女の人の人生はなんでこうも似通っているのか。戦争の引き金になるのはこのような圧倒的格差から生じる社会不安なのだなぁ。2014/02/07
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