内容説明
朝鮮戦争で英雄となったアメリカ陸軍軍曹のレイモンドは、帰国後平穏に暮らしていた。やがて、彼の周囲で敬愛する人々が殺される事件が相次ぐ。その一方で、軍隊時代の上官マーコをはじめ当時の戦友たちは、起きてはいないはずの戦争中の惨劇の悪夢に悩まされていた。マーコは、レイモンドこそがすべての鍵を握っていると確信し、調査を開始する―人間の心を操る冷戦下の非情な国際的陰謀を描いた戦慄の名作サスペンス。
著者等紹介
コンドン,リチャード[コンドン,リチャード][Condon,Richard]
1915年ニューヨークに生まれる。コピーライター、ハリウッドの映画宣伝係、プロデューサーなど数多くの職業を経た後、42歳で作家生活に入る。1959年に長篇第二作として発表された『影なき狙撃者』は、1962年、主演フランク・シナトラ、監督ジョン・フランケンハイマーにより同名で映画化された。1996年に81歳で没
佐和誠[サワマコト]
1928年生、青山学院大学英文科卒、英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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ヴェネツィア
425
本書の刊行は1959年。'50年代前半には全米の各方面でマッカーシズムが吹き荒れたが、この小説の根底にあるのはそれである。日本でよく知られているのは、チャップリンがこの標的になったことだろう。作者自身もまた何らかの犠牲を強いられたのかも知れない。小説はここから発想されながら、副大統領候補の暗殺未遂事件(これもまた、ケネディ暗殺を暗示するようで物議をかもしたようだが)、主人公レイモンドの継父と実母との確執など様々な要素が詰め込まれている。日本の読者にとっては、いささか煩雑過ぎて退屈の感も否めない。2018/07/04
ケイ
111
朝鮮戦争に従軍していた兵士たちが帰国後に体験する奇妙で不気味な事件。当時の共産主義下の洗脳への恐怖がみてとれる。話のオチが早々とわかってしまうのと、訳の読み辛さから、後半は速読状態で読了。デンゼルワシントン主演で映画化されているようなので、それを探して観てみよう。原文で読めばもっと楽しめたかもしれない。2016/06/22
セウテス
58
朝鮮戦争が停戦となり、アメリカに戻ったレイモンドは静かに暮らしていた。やがて彼の周りで、軍隊時代からの知人が殺害され始める。犯人はいったい誰なのか、その目的は何なのか。かつてアメリカに於いて、マッカーシーイズムという強烈な共産主義排除が起こった。マッカーシーという反共産主義を掲げる一地方議員から、全国的に広まった問題ある歴史の一つだが、共産主義に対する米国民の怖れが形になったとも言えると思う。ただ、サスペンスを楽しむ迄の物語に、成っていないと感じる。翻訳の問題も在るのかと思うが、スムーズに読めなかった。2016/11/29
NAO
37
朝鮮戦争の時から仕掛けられていた陰謀が長年の時を経て再始動する、共産勢力による洗脳を描いた話で、この手の話としては先駆的な作品。洗脳の薄気味悪さはもちろんだが、この作品では凄まじいばかりの支配力を持つ女性に干渉され続けた男たちが皮肉を込めて描かれている。そうやって人を自分の意のままに操って最上階にまで上り詰め君臨しようとするという点では、共産勢力とエレノアは同類である。話の先行きがかなり早い段階で分かってしまう上に、洗脳・過干渉といった人権を無視した行為が続き、私には、読むのがかなりしんどい作品だった。2015/11/16
きのこ
17
ガーディアン必読57/1000 途中からちょー斜め読み。読みにくいし惹き付けるものもない。ガーディアン久々の外れっす。2018/01/19