内容説明
ドイツ軍の猛攻が続く1941年4月、英国海軍少佐エズモンド・ブルックは、初めての指揮艦を得た。だがそれは老朽駆逐艦で、艦長になれぬ不満を秘めた副長、飛行恐怖症に陥った元パイロットの航海長など、問題のある人物が揃っていた。出港命令を受け、英国を離れたエズモンドらは、ジブラルタルで謎めいた男を艦に迎える。そして戦雲漂う香港に向かうが…激動の香港に展開する恋と闘いのドラマ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くたくた
46
リーマン3冊目にして安定のリーマン節。かなり悲惨な戦争で、脇役は結構あっさり惨殺されるが主人公は絶対無事、な安心感。戦闘の痛手を負ったちょいと影のある新任艦長が新しい指揮艦に乗艦するところから、心が傷ついた女が現れて艦長と恋仲になり、出撃・戦闘と帰港・ロマンスが交互に進行、という王道ワンパターンなんだが、今回恋愛パートは二組の恋が同時進行。艦長の方は貞操の硬い東洋人女性相手なだけに、手を握る以上進展できないところも、なんか胸が苦しくてよろしい。パールハーバーの前後の国際情勢を英国視点で香港から眺める。2020/06/28
鐵太郎
19
ダグラス・リーマンのWW2戦記21冊目。フネは1916年に建造された老嬢・駆逐艦サーペント号。1941年、この艦の艦長に就任したエズモンド・ブルック少佐から始まり、フネは撃戦を重ねる艦艇が集まる要港スカパ・フローから、戦争の気配も何もないのほほんとした東アジア、シンガポールから香港に進出します。ここで日本軍の侵攻を受けた彼らはどうしたのか。──ネタとしては面白く、なかなか見事なリーマン節です、が、絡まる二つのロマンスがあまりに安直。少年の安っぽい夢みたいでちょっと残念。2020/03/15
鈴木誠二
2
GWダグラス・リーマン特集3冊目。太平洋戦争開戦直前の香港を舞台にしているところは新鮮。戦闘シーンは少な目(だが、それはそれで良し)。当時の日中戦争を国民党と日本軍の戦争と認識しているところは興味深い。作者定番のちと強引なラブロマンスに百合フレーバーがプラスされてます。マカッチャンのトンデモ日本巡洋艦を読んでいただけに、「アサシオ」型駆逐艦の記述はごくわずかだけど、正確なのには好感。2017/05/06