内容説明
トラファルガル海戦の大勝の興奮も醒めやらぬ1806年。提督ボライソーはアフリカ南端の港市ケープ・タウンにいた。英国陸軍を支援中の艦船を連れ帰るのが目的だった。大勝利にもかかわらず、英国は船不足で悩んでいたのだ。そのころフランス側はデンマークの強力な艦隊に目をつけていた。もし艦隊が敵の手中に落ちれば、英国にとっては大打撃。ボライソーは密命を受けて策謀渦まく海域に急行する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鐵太郎
11
1806年、リチャード・ボライソー海軍中将 50歳。旗艦・フリゲート艦トラキュラント号(36)と戦列艦ブラック・プリンス号(94)。トラファルガー開戦後の英仏のボライソーの戦いを、アフリカ南端とデンマーク方面の二つの場面で描きます。今後の物語を彩るキャラ、醜い顔のジェームズ・タイアック艦長と、妹ナンシーの夫ルイス・ロクスビーが鮮烈です。無能で馬鹿な甥っ子マイルズ・ビンセントはボライソーにとってハンディなのか彩りなのか。まァボライソー自身も不倫真っ盛りで何だかなぁ状態なのですが。2012/11/12
とらやん
2
ボライソー物は、その底流に感傷的な気分が流れていて、 他の帆船物とは一線を画している。 そこが良いんだなあ。 単なる冒険物に終わらなくて。 ワシはちょっともの悲しいのが好き。 もう一つの特徴は、 主要人物をいとも簡単に殺してしまうこと。 これには参るよ。 まあそれが現実的なんだけど、 戦闘場面の前はいつも誰が死ぬのか、ドキドキしてしまう。 心臓に悪い小説です。 今回は陸の上の話が多かったので、 ちょっと不満でした。2012/03/13