内容説明
いくらクリスマスとはいえ、気温30度以上のアフリカでサンタクロースになったり、雷に打たれたメイドの遺体の始末に右往左往したり、外交官も楽じゃない。かつてイギリス領だった西アフリカの国キンジャンジャ。その州都にあるイギリス高等副弁務官事務所に勤める書記官モーガン・リーフィーは、酒と女で気をまぎらわせながら、上司一家の理不尽な要求にこたえようと東奔西走するが…サマセット・モーム賞受賞の話題作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
286
物語を読み終わった今、ありえたかも知れない人生を生きたような感慨を持つ。もちろん、高潔なDr.マレーとしてではなく、情けない、幾分かはだらしないとも言える、いつも損な役回りの中で頑張るモーガンとしてのそれだ。登録数が少ないので、あまり他の読者の感想は読めないのだが、男性の読者にはある程度は首肯してもらえそうだ。行ったことはないけれど、アフリカの風土感は全編に横溢していると思う。アフリカに暮らす人々への共感も存分に描かれている。散々理不尽な目に会うのだけれど、こんな人生もまんざら捨てたものでもないよね。2016/12/16
遥かなる想い
189
本書の舞台は西アフリカで かつてのイギリスの 植民地という設定である。 モーガンという主人公を通して、不遇を 嘆く現地派遣の男たちの無様な日々を描く。 このモーガンという男 不満の塊であり、 周りの男たちが皆嫌い 女性関係もだらしなく 酒と女に明け暮れた日々を送る.. この共感できるところが全くない モーガンの視点を通した物語.. タイトルが意味するところは 何なのだろうか? 楽しく読める物語ではある という印象だった。 2017/05/06
まふ
101
西アフリカの旧英国領キンジャンジャ国高等弁務官事務所の、有能ではあるがどこか間の悪い第一書記官モーガン・リーフィーが巻き込まれる数々の事件を綴ったコメディ。アフリカの新興国に飛ばされる外交官は決して一級とは言えないもののプライドだけは高い連中ばかりである。直属上司のファンショー高等副弁務官およびその一家からの無理難題を辛うじて解決しつつ毎日を過ごしているうちに、市民の意識が高まり暴動が発生する…。全体は日本のサラリーマン物語のような進み具合で妙に「親近感」を持った。⇒2024/09/09
扉のこちら側
77
2016年119冊め。【132/G1000】1970年頃の西アフリカの架空の国で、旧宗主国・英国の高等副弁務官事務所の第一書記官という(肥満)男性が、酒と女しかないパッとしない日々を送っていたが、陰謀に巻き込まれて…という話。けれど状況に流されるばかりで、鼻持ちならない女たちと関係も持っては性病に罹患し…と、素敵には思えないキャラクター。女性関係の描写を減らしてもっとコンパクトにまとめた方がおもしろかったと思う。2016/02/23
NAO
71
かつてのイギリスの植民地である西アフリカの小さな国を舞台に、書記官モーガンの宮仕えの四苦八苦ぶりが、アイロニカルに描かれている。モーガンは、人並みに野心もあるのに、その野心をかなえることよりも目先の安逸に走ってしまう。そして、すべてが、思うように運ばない。とはいえ、運命は、意外な方へと動いていく。そもそも、イノセントという名の女性が雷に打たれて死んだということからして、イノセントではないのだ。2020/07/15