内容説明
島の見学ツアーに出発した顧問団の一行、そしてパーク創設者の孫である子供たちを見舞った、すさまじいパニック。コンピュータで完全にコントロールされているはずのシステムに次々と破綻が生じ、停電したパーク内で、獰猛なティラノサウルスが、悪賢いヴェロキラプトルの群れが、人間たちに襲いかかる。科学知識を駆使した新しい恐竜像、ロマンと興奮あふれる面白さで話題をまいた、スーパー・エンターテインメント。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
356
慣れたせいだと思うが、上巻で味わった戦慄するような恐怖はない。しかし、その代わりに恐竜たちの動きや、群れ行動のリアリティは並大抵ではない。迫真力に満ちた表現の連続に、ページをめくる指が止まらない。それを可能にしているのは、古生物学研究の最新の成果を踏まえ、さらには分子生物学から非線形数学までを援用する著者の博識ぶりと、あくなき好奇心だ。そして、そこから飛翔する想像力。ここでの想像は空想的なそれではなく、むしろ推論によるものだといっていい。こんなに生き生きと恐竜を描いたものは他には見られないだろう。2016/12/02
absinthe
173
映画では省略された様々なエピソードがあった。なるほど、パークがうまく機能しないのには、そういう過ちもあったのか。マルカムの科学否定論は飛躍しすぎだと思ったが、良く纏まって読み応えあり。「もう我々が恐竜をどうするか決められる立場じゃないんだ。我々をどうするか奴らが決めるんだ。」1億年以上も地球を支配した恐竜たちに占領された島の恐ろしいこと。何者も自然を支配することは出来なかった。2022/11/25
ケイ
105
映画とは随分と展開が違ったので、あれっと思いながらも楽しめた。しかし、バイオテクノロジーのモラル無き追究は危険であり、人類自身を危うくするというテーマや、次々に仲間が減っていく展開は、アメリカの様々な映画で繰り返されているものであるので、ここから考えさせられるものはあまりなかったように思う。これが書かれた当時は斬新だったのかもしれないが。2015/12/10
セウテス
71
映画とは設定や展開が違うのだが、原作ならではの物語を楽しめる。恐竜たちが生息する地域を、命懸けで抜けようとするサバイバルが中心の話です。緊張感伝わる描写でスピーディな展開は、その場に自分が居る様な雰囲気そのままです。しかし科学技術がどんなに発達しようとも、人間が正しい未来へのヴィジョンを描けなければ、滅びは隣り合わせなのかも知れない。相手を真摯に知ろうとせずに、自分の技術の発展にのみ目を向けるなら、人類の滅亡は近いのだろう。地球の歴史を意識するとき人間の存在など、なんてちっぽけなのかと沁々としてしまう。2016/05/28
オーウェン
59
セキュリティが壊れ、パーク内を観光していた面々が恐竜たちに襲われる下巻。 ラプトルの群衆も恐ろしいが、やはりTレックスの威嚇が圧倒的に迫ってくる。 実際は目がほとんど見えないというのも確かな科学の考察ゆえだろう。 映画よりも気付いたのは、ティモシーやアレクシスはかなりわがままなガキだということ。 恐竜に襲われているのに眠いだの腹減っただの、お前ら喰われろと思ってしまったぞ(笑) このパークの遺産がそのまま次作の「ロストワールド」に引き継がれることに。2024/06/10