感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くたくた
30
いよいよドイツ側の一冊。同じような語り出しだが、何しろドイツ艦だ。もう、鷲舞を読む時のような覚悟でこっちは臨むのだが、例のリーマン節である。主人公は寡黙なディーター・ヘヒラードイツ海軍大佐、重巡洋艦《プリンツ・ルイトポルト》艦長。悲劇ははなから折り込み済みなので、できれば格好良い「ロマンチックな愚か者」を堪能したいのだが、そこはリーマン、今回も極めつけにイヤな身内の敵、ライトナー司令官が終始同乗している。これがとにかくイヤなやつで。まるで靴の中に入った小石のように、いらいらチクチク、異物感が半端ない。2020/09/30
鐵太郎
17
ヒッパー級重巡洋艦というものを、英国人には過大評価しすぎていないか。優秀な監ではあるけれど、それほど頑強で堅実なフネだったとも思えないのですが。──でこれは、このヒッパー級の改型プリンツ・オイゲンの姉妹艦として「存在」したプリンツ・ルイトポルト号の指揮官ディーター・ヘヒラー大佐の物語。むろんリーマン節ですので、もれなくツンデレのいい女つき。(笑) 設定的にあちこち言いたいことはあるけれど、こんなドイツ艦とその乗組員たちの物語も面白いね。2019/03/15
魔魔男爵
3
本書のベストセリフ「女性には選択する権利がなければなりません。人が子供をつくるのには、ドイツ国家のために兵隊と母親をつくりだすということよりももっとましな理由があるはずです」戦争小説なのにジェンダー観が素晴しい異色の作品。そして、イギリス人作家なのに、本作の主人公はドイツ側である。さらに戦争の花形の空母や戦艦は脇役で、主人公艦は重巡洋艦である。実はこの作品の重巡洋艦がリーマンの主人公艦としては一番でかい。他作品では駆逐艦より小さい魚雷艇や沿岸警備艇が主人公艦だったりする。捻くれたリーマンなので覚悟して読め2012/08/23