内容説明
ゴーリキー公園の顔と指のない3つの死体…。それは誰も触れることの許されぬソビエト社会の根深い矛盾を象徴していた。ようやくレンコは殺人犯の正体をつかむが、検事局長から捜査の終了を命じられる。彼は決して掘り起こしてはならない過去を発見してしまったのだ。主任捜査官の地位さえも奪われたレンコは、メーデーの夜、ついに犯人と対決する。そして彼が海の彼方で見た、驚愕の真実とは?英国推理作家協会ゴールド・ダガー賞を受賞した本書は現代社会への深い洞察にあふれ、「現代ミステリの最高水準」と絶賛された稀代の傑作である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sakadonohito
15
事件が込み入ってきて、何だか良くわからない展開の後に舞台はニューヨークに。中々良かったです。ロシアの作家さんだと思いきやアメリカ人で別にロシアに縁があるわけでもないらしい。とてもソ連を感じる作品だったので驚いた。ミステリーの分類ではないと思う。2022/07/26
uchiyama
2
とりたててこの本が、というわけでもないのですが、90分で描けるはずの話をだらだらと120分、下手するとそれ以上にしてしまうような映画への憤りを、長いミステリのあれやこれやにも感じることはあって、多分、見応え、読み応えのある作品にするにはそこそこの長さが必要、という配慮もあるのでしょうが、情動を生じさせるのは長さじゃないんだ、と。それこそ、野生のクロテンの動きみたいに、敏捷で引き締まった描写が読みたかったです。2024/05/01