内容説明
深傷を負い絶命したと思われた男がまたしてもヒラリーの前に姿を現わした。埋葬まですませたはずが、さらに凶暴性を膨らませ彼女に追ってきたのだ。凄惨な手口で次々と女性を毒牙にかけてゆく男を衝き動かすものは何なのか?不可解な事件の核心に追るべく男の出生の地を訪れたヒラリーとロス市警警部補クレメンザは、やがて衝撃的な事実にたどりつく。ホラー界の鬼才クーンツが卓越した人間描写のなかに鬼気追る恐怖を描く尽くす追真のサイコロジカル・スリラー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
26
死んだはずのストーカ男再登場で、またまた美人主人公は、誰も信じてくれない状況に陥ります。良い仲になり始めたイケメン刑事との間もぎくしゃく。そこで主人公は、生き返ったストーカー男の謎を解き明かすべくヤツの故郷に乗り込みます。気弱だった女性が、強さと逞しさを身に付けていく様は、いかにもアメリカ的。徐々に明かされるストーカー男の正体。ミステリならば反則技ですが、そこはそれホラーなものですから。最終決戦はハラハラ感が少なめで、タイトルの意味が分かるような仕掛け。長い物語に付き合ったわりにご褒美なしの読後感でした。2017/11/26
マッピー
14
死んだはずの男が、再びヒラリーの命を狙う。発見されたときにはすでに死んでいて、検死もすんだというのに。これに関しては、一応仮説を立ててみた。で、結果的にそれは正解だった。けれど、サイコパスのシリアルキラーであるブルーノ・フライの真実を知ると、ブルーノすら被害者であったのだと思わざるを得ない。傷ついた自分を認められず、自分を騙すために人を傷つける事も厭わない。そんなことの連鎖がとんでもないモンスターを生んでしまったのだ。怖いのは人の心であって、モンスターではなかった。いや、一番怖いのは大量のゴキブリか。2021/02/17
Tetchy
10
はっきり云って最後にやられた。打ちのめされました。最後に現れるブルーノ・フライを脅かす「ささやき」の正体のおぞましさ!背筋に文字通り虫唾が走りました。加えて多種多様なドラマティックな演出が散りばめられており、非常に美味しい作品だった。2009/05/26
円盤人
6
下巻の最初で上巻の入り口に展開は戻る。真相は自然なのか超自然なのか、さんざん振り回された読者の旅はひとつの答に収束を始める。一言で言うと真相は他愛もないものだが、死体安置所や葬儀社などの描写を緻密に行っているのには好感が持てる。特にこういう話の場合、各章の頭に短い回想場面などを挿入しがちだが、そういうムダ(そう、全くのムダだ)を省いて、格調よりも物語を優先させている態度、真相を成立させるのに障害となるセクションの描写を避けず、徹底的に調べて描いた姿勢こそが、今作で作者を大きく化けさせたものの正体だと思う。2020/11/08
May
4
読了23作目、35冊目。記録が残っている分では、これが最後の読了作らしい。2000/04/02