内容説明
大邸宅に住むハリウッドの若き女性脚本家ヒラリー・トーマス。華々しい成功を目の前にした彼女を突然の侵入者が襲った。一度会っただけの、柔和で紳士的な印象さえあった中年男が、耳を疑うようなおぞましい欲情を口にし、彼女を強姦・殺人の危機に追いこんだのだ。とっさの機転で一度は暴漢を撃退したヒラリーだったが、男は何かに憑かれたような尋常ならぬ執念で再び侵入を果たし、彼女に襲いかかる。窮地に立たされたヒラリーは、ついにその手にナイフを握った。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
25
本作品の主役は新進気鋭のシナリオライター。性格が良く恋に臆病な美人という如何にもなキャラクター設定です。その彼女がゴリマッチョな男にストーカーされ、命の危険に晒されていくというお話。何故、主人公を執拗につけ狙うのか。地方都市の名士であるストーカー男のアリバイは、立証され誰も信じてくれない系サスペンスへ。そこに現れたイケメン刑事。クーンツ節炸裂です。すったもんだの挙句、ストーカー男を斃した主人公。愛の物語はクライマックスを迎えようとしますが、ところがどっこい死んだはずのストーカー男再登場!下巻に続きます。2017/11/18
マッピー
15
若くしてハリウッドで成功したヒラリーは、幼い頃アル中の両親から受けた仕打ちのせいで他人に心を開くことができない。親しい人を作らないように用心して生きてきたヒラリーの家に、侵入者があった。その男は、ヒラリーを強姦してから殺そうとするが、ピストルを手にしたヒラリーは何とか暴漢を撃退することに成功するが、再びヒラリーを襲った侵入者は彼女に返り討ちにされ命を落とす。184ページで犯人が死んで、どうやって物語は着地するの?ホラーは苦手ですが、先が気になってしょうがありませんでした。真実は一体どういうこと? 2021/01/28
Tetchy
8
今回は不死の殺人鬼がモチーフだと思い、どんな原因・理由でこの殺人鬼は蘇えるのだろうと思っていた所、下巻の登場人物一覧に「オカルティスト」なる文字が。これで以前読んだある作品の焼き直しかとがっかりしたが、あにはからんや、今回は論理的解決が用意されていた。2009/05/26
イコ
7
ベストセラー小説の書き方の作者なので昔から知ってるが、小説を読むのは初めてだった。キングと並ぶモダンホラー作家なのでいつホラー展開になるかと思ったら最後にホラー展開、下巻はホラーになるかも。上巻は良質な警察小説を読んでいるようだったりそれでいて人物描写が深く掘り下げられ、誰しもある二面性を描いている。トニーとフランクの相棒になってくる過程が面白かったが、無残に散って悲しかった。襲撃者が2度襲ってくるところと、エンジェルダストの薬中とのアクションは凄かった、描写だけではなく緊迫感のある状況を作るのが上手い。2020/10/21
円盤人
5
クーンツの代表作のひとつ。話の行く末を読者が想像した直後に裏切っていく、という特殊な作りをしている。真相の核は、フライの独白――20回ヒラリーを殺しているだとか、「キャサリン」の下りに匂わせているようだ。ただし『ファントム』と違って、真相がそこにあるというよりは、サイコの妄想にすぎないように思えてしまうのが大きな欠点だ。特にフライが「死んで」からは、作者が苦心して物語につなぎとめようとしているものの、上巻2/3の時点ではダレてしまっている。完全に「失敗」する前にうまく下巻に繋ぎはしたが……さてその行方は?2020/10/28