内容説明
ナチ・ドイツの猛攻にあえぐ英国に、生活必需物質を運ぶ老朽輸送船団。その最後尾を進むオリンピアン号は、幾多の航海を乗り切った古強者だった。老練な船長、有能なエリス一等航海士以下、いずれ劣らぬ海の男たちは、Uボートの跳梁する海域を抜け、あとわずかで味方の勢力圏内に入ろうとしていた。不屈の英国商船隊魂を雄々しく謳いあげる海戦小説の白眉。
感想・レビュー
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鈴木裕久
3
隠喩が多すぎる慇懃無礼(おもしろいですよ
hsg
0
社会的な階層の違いが度々描かれていて,民間徴用で戦場に駆り出されただけの船乗りたちと国家,更に船乗りの中でも士官と水夫,士官の中での階級と,色々な立場の差が強調される.これ自体は軍隊を描いた内容でも見られるが,この作品の場合,自分と対等な立場の人物が全く出てこない(終盤で死体として登場するのみ)というのが,印象に残った. 次の瞬間には訪れるともしれない死に対する絶えない不安と,そうした運命に対する諦め,そして一時的ながら生死を共にする相手との,敬意とも親しみとも異なる奇妙な協力関係が,淡々と描かれている.2017/03/01