内容説明
アパルトヘイト政策のもと、人種差別がおし進められる南アフリカ共和国。地方紙の編集長を務めるドナルド・ウッズはある日、若き黒人指導者ビコに出会う。白人との協力を拒むビコの姿勢にウッズは反発を覚えたが、その人柄を知るにつれ人種をこえた友情で結ばれていく。だが、危険を冒して活動を続けるビコは、ついに公安警察に捕えられ、拷問の末、虐殺された。自身も脅迫を受けたウッズは、友の死の真相を世界に伝えるべく、家族と共に国外脱出を決意する。!実話を基に描く友情と戦いの叙事詩。アカデミー賞監督アッテンボローが大型映画化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みも
76
南アフリカ・アパルトヘイト…この悪名高き政策は1948年から1990年代迄続く。作品に描かれた1977年頃から見ても、マンデラ大統領誕生まで約20年近くの年月を要している。まさに遠い夜明けだ。とは言え、90年代以降に生まれた世代にとっては過去の出来事の一つに過ぎないのかも知れない。だが、冷静に目を凝らせば現在のイスラエルがパレスチナ人に対して行っている政策こそ、人種隔離政策である。迫害から解放されやっと手にした土地を死守したいユダヤ人の思いは分かるが、だからと言って無辜の民を無差別に虐殺してよい筈はない。2024/01/08
NAO
63
『遠い夜明け』の主要人物の一人ドナルド・ウッズは、黒人意識指導者のスティーヴ・ビゴと知り合い、彼の考え方に共鳴するようになった。ビゴとの関わりを深めをビゴを支持する態度をとるようになったため、白人であるにもかかわらず、活動禁止令が出され身動きがとれなくなった。ウッズは、公安警察の監視の目を逃れつつ2冊の本を書いた。映画『遠い夜明け』は、ウッズが書いた『Biko』をもとにして作られた。豊かな南アフリカの資源に群がる白人の、原住民に対する残虐極まる人種差別政策。ウッズの良識が、心に沁みる。 2021/12/09
isuzu
2
ノンフィクションが持つ力を初めて思い知らされた本。すばらしい。2005/02/06
ミアロ
2
黒人と白人を差別するアパルトヘイト政策がなくなったのは1990年代になってから。この作品はそれより前に書かれていて出版されたので解説でもアパルトヘイト撤廃を訴えてる。 この政策に日本も間接的だが加担していたことがショックである2009/06/02