出版社内容情報
文化人類学はもちろん、20世紀の人文科学全般に多大な影響を与えた、呪術と宗教の起源をさぐる畢生の書、本邦初の完訳。
第8巻となる本巻では、地上の生命を悩ますあらゆる災難から信仰者たちを解放する、スケープゴートとしての〈死にゆく神〉を取り上げる。石や棒、動物、人間への災厄の転移、身の回りに遍在する悪魔と様々な厄払い、悪魔祓い、魔女の追放、メキシコの人間供犠と神殺しから、ローマのサトゥルナリア祭と類似の祭典における無礼講と偽の王、キリストの十字架刑まで、 スケープゴートの慣習を神の犠牲へと純化する思考の錬金術が余すところなく紹介される。
内容説明
神なる人間を殺すこと。世界は神の犠牲によって更新され維持される。物や動物、人間への災厄の転移、遍在する悪魔と様々な厄払い、メキシコの人間供犠と神殺しからローマのサトゥルナリア祭まで、スケープゴートの慣習を神の犠牲へと鈍化する思考の錬金術。呪術と宗教の起源をめぐる壮大な旅。
目次
第1章 災厄の転移
第2章 悪魔の遍在
第3章 公的な厄払い
第4章 公的なスケープゴート
第5章 一般的なスケープゴートについて
第6章 古代ギリシア・ローマにおける人間のスケープゴート
第7章 メキシコにおける神殺し
第8章 サトゥルナリア祭と類似の祭典
著者等紹介
フレイザー,J.G.[フレイザー,J.G.] [Frazer,James George]
1854年スコットランド、グラスゴーの裕福な家庭に生まれる。グラスゴー大学卒業後、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジに進み、民俗学・神話学を修める。1879年同カレッジのフェロー、1907年にはリヴァプール大学の教授となり、イギリス最初の社会人類学の講座を担当。また、パウサニアスなどギリシア・ローマの古典の翻訳・考証研究にも力を注ぐ。1890年に本書初版、1900年に同第2版、1911年に同3版を刊行。古代ローマの金枝の伝説に端を発した研究は、呪術の原理、王の起源、タブー、農耕儀礼、スケープ・ゴート等をめぐる世界各地の習俗・伝説へと広がっていき、人類学のみならず、T・S・エリオットやコンラッドをはじめとする文学や、映画・美術・社会学など様々なジャンルに影響を与えている。1941年没
神成利男[カンナリトシオ]
1917年秋田県に生まれる。朝鮮総督府鉄道局や大蔵省財務局に勤務。1959年頃から本書の翻訳を始める。1970年退職と同時にアイヌの里二風谷に移住。1991年に死去するまでに本書の翻訳を完成させる
石塚正英[イシズカマサヒデ]
1949年新潟県に生まれる。1981年立正大学大学院博士後期課程満期退学。立正大学文学部講師、東京電機大学理工学部教授を経て、NPO法人頸城野郷土資料室理事長。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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