感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bookkeeper
30
★★★☆☆ 再読。1854年、ヴィクトリア女王治世下のロンドンで起きた金塊強奪事件を当時の社会風俗と共に描く。 クライトンはハイテクSF作家として有名だが、歴史好きの一面もあり、中世ヨーロッパ・ヴァイキング達のいた10世紀の北欧を舞台にした小説もある。当時の風習を丹念に調べて「この頃はこんな風に暮らしていたんだよ」と紹介してくれる。今作でも闘犬やら埋葬後に生き返った時用の安全装置やらてんこ盛り。これを楽しいと思えるか否かで評価も分かれそう。私は主人公に人間的な魅力が乏しく、感情移入がし難かったかな…。2020/03/24
佐島楓
25
19世紀ヴィクトリア朝が舞台のクライム・サスペンス。時代的な背景が精緻に書き込んであり、クライトン氏がしっかり文献にあたったうえで書いてあることがわかる。ピアーズという主人公の悪党もとても魅力的であり、結末が見えていても物語にひきつけられる。とても面白かった。2014/07/09
えーた
23
SF作家マイクル・クライトンの大英帝国を舞台とした大泥棒小説。実際に起きた列車強盗事件を基に、史実虚構を織り交ぜ、主人公・エドワード・ピアースによる金塊を積んだ列車の周到な強盗計画とその挫折までを描く。ほとんどが犯罪の準備過程にページが割かれているが、ピアースらに立ち塞がる数々の危難や冒険、それを映画を観ているようにワクワク読ませる描写のうまさ、頻繁に話の本筋から離れて語られるヴィクトリア朝当時の世相や風俗に関するトリヴィア等、読んでいて本当に面白い。「ジャッカルの日」と並ぶピカレスク小説の傑作だと思う。2021/09/10
Richard Thornburg
10
感想:★★★★ 簡単に言ってしまえば列車強盗の計画から実行、その結末までを淡々と書いてあるだけなのですが、ヴィクトリア朝時代の文化なども書いてあるので勉強になります。 ウエイト的には列車強盗の計画部分がほとんどなのですが、主人公のピアースがメンバー集めから始めるのはなかなか面白いところです。 つまりはピアース自身の頭の中には、最初から青写真があったわけで、そう考えるとピアースの頭の冴え方に憧れますね。 古い映画で『大頭脳』ってのがありましたが、あの映画を少し思い出しました。2014/10/02
あかくだしずお
5
舞台は19世紀の英国、列車で運ばれる金塊約1万2千ポンドを盗むお話。 全体の約80%(全5章中3章)が列車強盗の下準備で、いくつかあるエピソード全てが事細かに書かれているのに非常にテンポよく進んでいくのであっという間に読み終わった。 また、19世紀英国の社会情勢などの解説が所々に挟まれていることで、物語を追うほどにより立体的な情景が浮かびあがると思いました。2015/11/04