内容説明
タイムズ・スクェアにハワイ州誕生の報が流れる頃、私立探偵ハリー・エンジェルはシフレなる男の依頼を受けた。かつて自分が後援した戦前の名歌手フェイヴァリットの行方を突き止めてくれというのだ。さほど困難な調査とも思えない。快諾したエンジェルは、しかし意想外の事態に直面する―占星術師、ヴードゥー教の巫女や信者、悪魔崇拝者と、一様に怪しげな関係者、そして彼らの間に相次ぐ凄惨な殺人。果たして背後に潜む悪夢のごとき真相とは…?正統派ハードボイルドとオカルトの魅力が融合されたアメリカ探偵作家クラブ賞候補作品!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
104
ハードボイルドとオカルトを融合させた意欲作。私立探偵のエンジェルは、行方の分からなくなった歌手の調査を依頼される。容易な仕事に思えたのが、ニューヨークの暗黒世界に引きずり込まれ、自分の存在自体が揺らぐ経験をすることになる。巧みな物語の展開により、読み始めたらやめられない。結末のどんでん返しも巧い。作中で描かれる悪魔崇拝の儀式はグロテスクだが、リアリティーを感じた。米国社会の病んだ部分を巧みに描出している。可憐なヒロイン、イピファニーの存在も忘れがたい。病んだ社会で犠牲になるのはいつも若者だ。2018/01/28
nuit@積読消化中
56
映画『エンゼル・ハート』の原作、ウィリアム・ヒョーツバーグの「堕ちる天使」を読みました!高校生ぐらいの時に映画を観ましたが、意味は理解できていないにも関わらず、お気に入りの作品で、ようやく原作も読めました〜。しかも、無茶苦茶個人的にはドンピシャな世界観!占星術、ブードゥー教、悪魔崇拝者にハードボイルドと、著者のすぐれた筆致にどハマりです。2024/08/23
harass
48
古本屋で懐かしく手に取る。映画化以来の再読。50年台ニューヨーク、主人公の探偵は謎の依頼者からの仕事を請け負う。依頼者が以前に後援した男性歌手の行方を探して欲しいと。歌手はヒットを飛ばしたが戦時中に世間から姿を消したという。ハードボイルド+ホラーというジャンルオーバーもののはしりの作品でなかなかよく出来ている。一人称主観視点というのがキモだと思われる。ハードボイルドもののパターンを踏襲する描写で展開していくが不穏な方向に。伏線などを確認しながら読んで楽しめた。ただ言い回しが古臭いと感じるところがあった。2016/08/19
タツ フカガワ
33
1958年のニューヨーク。私立探偵ハリー・エンジェルは、40年代初め人気歌手だったジョニー・フェイバリットを探して欲しいという依頼を受ける。ところが手掛かりを知る人物が探偵が訪ねた直後に次々と惨殺されていく。ヴ―ドゥー教や悪魔崇拝などオカルトを絡めたハードボイルド/ミステリーで、最後に衝撃の事実が明らかになる。ずいぶん久しぶりの再読ですが、いやあ面白かった。映画『エンゼル・ハート』も見ていたので結末は覚えていましたが、今回は“あ、こんなところに布石があったのか”という発見もありました。2021/10/07
林 一歩
15
「ホラーとハードボイルドの融合」とか言われてた記憶がありますが、それは風呂敷広げ過ぎだろう。悪くはない。映画化された「エンゼルハート」は好きだ。2013/01/05