感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
106
ル・カレ2作目の本書はジョージ・スマイリーが登場するが、スパイの物語ではなく、上流階級の夫人の死について田舎町に赴いて事件の真相を調べる探偵役を務める異色作だ。本書の真相はテーマ性と云い、レンデル作品の風合いを思わせる。ただ本書が刊行されたのはレンデルデビュー前。もしかしたらこの作品の影響は少なからず彼女の創作活動にあるのではないだろうか。いやこれはもはや私の妄想だ。しかしそれが読書の醍醐味だ。どちらも鬼籍に入っており、この説の検証はできないが、このような想像の翼を広げることこそが読書の最大の愉悦なのだ。2023/09/26
bapaksejahtera
11
既読2作の間に挟まって発表された初期の作品。本書の主人公であるスマイリー登場作品では珍しい本格推理物で、傑作の評判である。舞台は英国南部ドーセット、非国教会系住民が暮らす中にある由緒あるパブリックスクール寄宿学校。ここに赴任してきた教師はグラマースクール出であり、国教会に宗旨変えして階級接近を図る男。対して非国教会の慈善活動に熱心な彼の妻が、購読雑誌に彼女への夫の殺意を訴える。同誌編集者と懇意な主人公が調査に乗り出す発端。古いタイプの推理小説であり、ごちゃごちゃとした感じ。スパイ者の方が気に入ったのだが。2022/04/17
yooou
8
☆☆☆☆★ ル・カレの2作目をようやく読むことができた。文体や物語の運びは1作目から見違えるようなものになっているのに驚かされる。才能だけではなくたゆまざる努力の跡がありありとわかる。そして正統イギリス推理小説の王道をいく作品を繰り出してくるあたりはすでにして只者ではなかったということですね。2023/12/29
あおさわ
8
スマイリー五部作、2巻目です。普通の人のなかにある底知れぬ闇。怖いわ…。特にこんな「悪意の塊」を持つ人間がいると。カトリックとプロテスタントの街の中での壁、学院に「そぐわない」存在を排除しようという雰囲気。彼女は異物として排除されたのか。と思ったんですが…。殺されたステラの人物像が人によって違い、これは見る人の違いかな?と思ったんですが…。ぜんっぶひっくり返されました。最後の数十ページで。スマイリーの冷徹な視線が暴く事実に驚きました。この話はミステリーだったので、期待とは違っていましたが、楽しめました! 2014/09/26
造理
6
★★★★☆ パブリックスクールを舞台にした殺人事件。作者はスパイ小説で有名らしいですが今作は純粋な推理小説。被害者の印象の変化とともに事件の様相も変わっていく様が面白かったです。地味ですが、ある小道具を基にした犯人特定のロジックが美しい作品。2017/04/21




