感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aminadab
24
執筆順5作目、いわば「正篇」5部作の完結編という位置づけ。主人公は1813年10月、邦題にあるようにノルマンディー海岸で起こった僚艦の反乱を収拾に赴くのだが、これがライプツィヒの戦いの直後で、ルアーヴル港と要塞の受け取り以下、ナポレオン帝政の崩壊の現場に立ち会う。と思えば後半の1815年、恩人の公爵をロワール川上流の城に訪れている最中に百日天下が始まり、今度は勝ち目のないゲリラ戦に身を投じる。フネで戦う話でも英国冒険小説だからやはり泥水すすり草を噛む敵中突破がなくては、という作者の話芸全開の語り口が凄い。2022/12/10
fukumasagami
5
この男たちが、これからホーンブロワーの下で勤務するのだと考えて喜んでいるのは、妙なことだが、事実そうであることは疑いようもなかった。だが、そのホーンブロワーは、彼らの頭の中に存在する、修飾されたホーンブロワーであって、今ここで上衣とズボンを着けた生身のホーンブロワーではないのだ。彼らは、勝利を、興奮を、戦功を、出世を望んでいるのだ。哀れな愚か者たち。彼らは、ホーンブロワーが指揮をとる所、多くの人間が命を落とすということを、考えてみようとしない。2019/11/30
shiro
3
反乱に端を発した一連の事件はホーンブロワーをナポレオン体制の崩壊の最中へと巻き込むことになる。…のはいいんだけどブッシュ…! もうそれ以上言葉もない。短い時間しか過ごしていないドッブズとハワードに惚れ込まれているのはさすがの人柄。後半では嬉しい再会と胸の痛い別れもあり、最後まで息つく暇がない。2017/12/27
コウ
2
ホーンブロワーの栄光と苦悩、大きな喪失。とりわけ、マリーの運命には胸が締め付けられる。浮き沈みの激しい激動の展開で実に読ませる。2021/10/17
カラヤ3
2
反乱艦を取戻しに行く途上、昔一緒の船で勤務した船員を見分けることができ乗り組員が喜ぶ場面があったが気持ちはよくわかる。ブッシュが戦死したのは残念だった。2021/01/01