感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんこい
10
再読。クレタ島の地下迷路という舞台で何が起きるのか、と思っていましたが、迷路の出来事よりそこに至るまで登場人物それぞれの人生にも色々あり、それが船旅のあと迷路行きでまた錯綜したり袋小路に入ったり、迷路も一つの象徴ですね。2015/04/05
paluko
9
同年代のハヤカワ文庫の広告欄でタイトルを見つけ、なぜか気になって手に取りました。余命宣告を受けた博物館員、チャネリングしていた魅惑的な女の霊に捨てられた霊媒、戦争中の記憶に苛まれる元兵士、どこにも安住できない画家、伝道に一身を捧げた女…など、さまざまな背景をもつ人々がミーノータウロス伝説がいまだ生々しく息づいているクレタ島の洞窟探検中に落盤に巻き込まれ、人生行路を否応なくねじ曲げられていく…いや、むしろ本心の望んでいる道を見出したのか? まるで「隠れ里伝説」のような場所も出てきたり、かつてない読後感。2021/05/13
Yoko
1
好きな作家に挙げておきながら、代表作と呼ばれるものをほとんど読んでなかった。というこで大好きなギリシャに関連するこの本を読んでみることに。「迷路」での出来事が主だと思っていたら、半分以上は登場人物の過去や洞窟探検に参加するまでのいきさつについて語っていた。登場人物の心理に焦点が当てられていて、前半はかなり理解し難かった。というのも、詩や文学に知識のない私には、そもそもこの本読んでも無駄なんじゃないか?という疑念を抱きながらも後半は一気に読め、なんとなく読んだ気になれた。作品の中にいつもダレル自身を感じる。2014/05/17