出版社内容情報
海面上昇が進み医療が著しく後退した未来。偏屈なドクターとロボットのマリア2の船には、治療を求める患者たちが集まってくる。
【目次】
内容説明
地球温暖化が進行し大規模な海面上昇が進んだ24世紀。大企業HA〈ヘブンリー・アンセム〉が提供する安心安全な〈シティ〉での高度に管理された生活を享受できるのは一部の富裕層だけで、その他の地域では文明が後退し医療や教育へのアクセスも難しくなっている。しかし物好きで偏屈な博士は助手であるロボットのマリア2と古いクリニック船で海域を移動しさまざまな理由で治療を必要としている市井の人びとを診察する。
著者等紹介
辻村七子[ツジムラナナコ]
神奈川県出身。『時泥棒と椿姫の夢』で2014年度ロマン大賞〈大賞〉を受賞し、翌年に同作を改題・加筆改稿した『螺旋時空のラビリンス』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
COSMOS本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
20
地球温暖化で大規模な海面上昇が進んだ24世紀。物好きで偏屈な博士が、助手ロボットと市井の人びとを診察するSF小説。助手のマリアⅡと古いクリニック船で海域を移動し、一ヶ月の期間限定の手術を受けたダイバー、自分の顔が気に入らず美容移植手術を切望する男、作業船船員と簡易強化サイボーグ化といった患者たちの希望に向き合い、最善の方法を模索するドクター。なぜ彼らがそんなことをしているのか、元同僚の訪問から浮き彫りになる2人の関係の真相には驚かされましたが、いつまでも変わらない2人の関係がけがえのないものに思えました。2025/12/03
うさぎや
7
連作短編集。なるほどそういう……。ステキなコンビだ。2025/12/09
bluets8
5
海面上昇で陸地が大きく減少した未来。大企業HAが世界を牛耳り、富裕層とそれ以外で貧富の差が極端に開いた世界で、おんぼろ船で世界を巡り治療を行う偏屈な博士と助手ロボットの物語。魚人化、無休の戦士化、不死のロボット化…博士が行う手術は実にSF的なのに、手術を受けた者たちが紡ぐのは家族愛や自己愛、友愛など様々な『愛』の話でひどく人間臭い。どんな時代になっても人間は人間、愚かで美しい。と思っていたら最終話でどんでん返しが。愛の話の締めとしても、SFのラストとしても見事だ。約200頁の薄い本なのに満足度が高い一冊。2025/12/12
c3pomotohonzuki
0
海面上昇により陸地の激減した未来で、極大化した格差に捕らわれる人々。 彼らの望みをただ叶えるのではなく、真に必要な形で医療の手を差し伸べる博士。 救いでありけじめであり仮初めの永遠でもあるSF連作短編集。 「それでもどこかに。ずっと憧れてきたどこかに」2025/12/05
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