出版社内容情報
不慮の事故によって右足を失ったダンサーの護堂恒明は、AI制御の義足を身につけることで人間性のプロトコルを追究するが――。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
33
不慮の事故で右足を失い、AI制御の義足を身につけることになったダンサーの護堂恒明。彼が人とロボットのダンスを分ける人間性を表現しようと試みる近未来小説。身体表現の最前線を志向するコンテンポラリーダンサーだった恒明の突然の暗転。絶望の中に義足に希望を見出し、自らの肉体を掘り下げてダンスの本質を突き詰めていく恒明。そして認知症が急速に進んでしまい変わり果ててゆく、伝説の舞踏家だった父と向き合う絶望の日々。テクノロジーの進化と限界も実感するなかなか壮絶な展開の中で、ある意味彼ららしい結末が印象に残る物語でした。2025/07/16
huraki
7
事故で右足を失ったダンサー・護堂恒明の義足を使ったダンスによる新たな表現への挑戦。友人の谷口や父親との対話を通じて、感情を動かすダンスについて本質を追求していく。人が持つ内なる衝動を外へ表現し観客に伝える過程を、ロボットにも適用することは果たして可能なのか?難題を前に父親の介護問題も重なり幾度となく希望と喪失を繰り返す中で、人間性について掘り下げていく文章に圧倒された。恒明たちが辿り着いた境地と父親の姿に心打たれた。2025/08/25
うさぎや
6
人間と機械。精神の保持と喪失。希望と絶望。様々な対比を繋ぎ止めていくのはダンスであり、生きるということ。2025/08/08
Simon
5
表紙デザインが好みで衝動買いしたが、今のところ今年ベストの作品だった。不慮の事故で片足を失いながらも、AI義足と共に舞台へと登ろうとするダンサーを主人公に置くSF小説。というあらすじだけでは到底伝わらない心削られる展開だった。向き合わなければならない諸問題は時間が解決するわけではないかもしれないという絶望感が苦しかった。でも、読んでよかったし、何度でも読みかえしたい。『自分のルーツを見捨てて、どんな踊りを踊ればよいのか、わからなかったからだ。』とても良い出会いが出来た。2025/08/26
水原由紀/Yuki Mizuhara
4
非常に良かった。だいぶ昔に読んだ『あなたのための物語』が文体的にも内容的にもあまりピンと来ず、むしろ苦手だとさえ思ったのだが、本作『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』ではその印象が完全に払拭された。/終盤のダンスシーンはいずれも圧巻。私が苦手だと感じた"無骨で淡白な文体"がここで効いてくる。/プログラムをいじったことで世界のあらゆるものが「踊り」として知覚されそうになる、という箇所はそれ単体だけで一作品にできるくらいなのにそれをササッと使えちゃう贅沢さよ!2025/08/09
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