出版社内容情報
この現実と異なる謎だらけの危険な裏世界、その開拓を進めていく空魚と鳥子。ふたりが出逢う新たな怪異とは? SFホラー最新巻
内容説明
“山の牧場”で民間軍事会社との訓練合宿を終えた、空魚と鳥子。しかし潤巳るなが放った一言が、ふたりの関係にわだかまりを残し…?膝枕をめぐる空魚の災難「裏膝枕って知ってる?」、認知科学者の小桜が開発した怪談メーカーが見せる光景と、閏間冴月の残したアーティファクトをめぐる「あり得るすべての怪談」、弾丸を確保するため裏世界を探検する「アンダーグラウンド・ピープル」を収録のSFホラー第10巻!
著者等紹介
宮澤伊織[ミヤザワイオリ]
秋田県生まれ。2011年、『僕の魔剣が、うるさい件について』(角川スニーカー文庫)でデビュー。2015年、「神々の歩法」で第6回創元SF短編賞を受賞。冒険企画局に所属し、「魚蹴」名義で『インセイン』(新紀元社)などTRPGのリプレイや世界設定も手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
70
ああ裏世界へ行きたい(笑) 今回は『裏膝枕って知ってる?』から始まる怪異。いや、知らなかったよ。裏膝枕がそんなに恐ろしいものだなんて(苦笑) 表題作は小桜さんが創ろうとしているカイダンクラフトというシステムが裏世界と相互干渉しているかも、というところから、頼りになるのかならないのか判り難かった魔術師・辻さんの活躍。リンフォン!!その怪談は知ってるヤツ!でも閏間冴月が遺した地雷なんだから、当然一筋縄ではいかない。そして『アンダーグラウンド・ピープル』では東京地下の迷宮迷子行。久々の冒険譚にハラハラ。2025/03/26
星野流人
51
今回はなんというか、結構とりとめもないエピソードが多めだったかも? その分、不条理なホラー展開に巻き込まれるシーンが多く、まったく意味がわからないのに凄く怖くて、そういう意味で楽しめる1冊でした。理不尽な恐怖に怯える一方で、地獄の門であるリンフォンを解いていくくだりでは、恐怖に引きずり込まれそうになる中で辻さんがいともあっさりと現実に戻る対抗手段を取っていて、とてもカッコよかったです。ラストシーンは不穏な次巻を予感させますが……なにせ何もかも滅茶苦茶な裏世界のことなので、どうなることやら2025/03/30
ひさか
49
2025年3月ハヤカワJA文庫刊。書き下ろし。シリーズ10作目。裏膝枕って知ってる?、あり得るすべての怪談、アンダーグラウンド・ピープル、の3つの連作短編。裏世界が小桜の怪談クラフトに反応している?!なんという興味深い展開!!。空魚と鳥子ファミリーの活躍は超弩級だ。空魚と鳥子だけの裏世界探検もあり、豪勢な展開はとても満足。2025/05/03
よっち
31
山の牧場で民間軍事会社との訓練合宿を終えた空魚と鳥子。しかし潤巳るなの一言が2人の関係にわだかまりを残す第10弾。鳥子が執着する膝枕をきっかけに空魚が巻き込まれていく支離滅裂な裏膝枕の怪異。認知科学者の小桜が開発した階段メーカーが作り出す膝枕が関係する自動生成怪談と、閨間颯冴月が遺したリンフォンで知られるネット怪談。弾丸を確保するために裏世界を探検する中で遭遇するお墓と殺人熊の脅威、地下鉄駅で遭遇した裏世界の狩人。空魚と鳥子の関係に対する第三者評も興味深かったですけど、後半は物語としても動いて来ましたね。2025/03/19
本の蟲
25
「膝枕って、なに?」特大の地雷を踏みぬいた場面で終わった前巻。予想通りすぐには爆発せず、炸薬マシマシで埋め直したような不穏な始まり方。〈カイダンクラフト〉の影響が裏世界に現れたので検証考察。やっぱり「恐怖」と「裏世界」に対して理屈でアプローチしているのがSFだなぁ好きだなぁ、としみじみ。徐々に広がりを見せる人間関係だが、相変わらず空魚を台風の目として、彼女以外で分かりあっているのは愉快。裏世界の深部へ探索を進める2人。元々各巻頁数薄めだけど、巻を追うごとに薄くなってる気が…。次巻はもっと濃いめ分厚め希望 2025/03/21