出版社内容情報
AI裁判官が法廷を仕切るようになった日本。不敗と名高い弁護士・機島雄弁はハッキングを駆使して勝訴を掴み、事件の真実へと迫る
内容説明
複雑化していく訴訟社会にあって人間の代わりにAI裁判官が導入された日本。省コスト化・高速化により訴訟件数は爆増、法曹界は困惑とともにバブルに沸きながらAI法廷を受け入れ始めていた。そんななか、機械と化した法廷を冷徹に分析する男が1人―不敗弁護士、機島雄弁。AIを騙して勝訴を手にするハッカー弁護士が複雑怪奇な依頼をこなしながら、この国の正義をめぐる一大事件に挑む。気鋭のAI法廷ミステリ!
著者等紹介
竹田人造[タケダジンゾウ]
1990年、東京都生まれ。2018年「アドバーサリアル・パイパーズ、あるいは最後の現金強盗」で第9回創元SF短編賞新井素子賞を受賞。2020年、同作を改稿のうえ長篇化した『人工知能で10億ゲットする完全犯罪マニュアル』で、第8回ハヤカワSFコンテスト優秀賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
桜
47
ばそこん的な話は理解が及ばずでしたが面白かった! 裁判官がAIになった世界。 「裁判官(統計的に)」が好むフォルムを装い、「裁判官(システム)」の不備を突いて無罪を勝ち取る機島。「違うだろ!」って引き戻す道徳センセイ(笑)軒下も良い味出してる。 出来ればシリーズ化してほしいけど( ╹▽╹ )2024/04/16
papako
40
裁判官つながりでこちら。面白そうって思ったんですが、とにかく読みにくい!テンポが合わず苦戦した。こういうSFもので、技術的な文言が多いものは、その部分をしっかり理解できるか、理解せずに流し読みしても大丈夫なら楽しめるのだけど、これはダメだった。コミカルを狙っているのだろう部分も自分には合わなかったなぁ。機島と軒下の関係はよかったけど。セリフの裏を読めってことか?こなれたら好きなのになぁ。2024/11/30
よっち
28
複雑化する訴訟社会にあって、AI裁判官が導入された日本。あくまで機械として冷徹に分析する不敗弁護士・機島雄弁とこの国の正義をめぐるAI法廷ミステリ連作集。AIの穴をついて勝訴するハッカー弁護士の顔も持つ悪徳漢・機島が助手の軒下と組んで挑む、被告人を裏切りながら勝訴した殺人事件、脳波義足事故を巡る真相、不正データ使用リーク事件の再審請求、そして陥れられた軒下とマスターキー裁判。苦い過去の事件の真相やAI裁判官の疑惑も追いながら、思ってもみなかった方法で盤面をひっくり返してみせる展開は痛快で面白かったですね。2024/04/05
イシカミハサミ
16
裁判官がすべてAI化というある意味でのディストピア小説。 実際に起こるか起こらないかは絶妙なラインとして、 実際に導入されたら何が起こり得るか、 というIfとしては興味深かった。 なかなか破天荒な主人公の造形だけれど、 法廷のシーンはもうちょっとガチンコじゃないと読みごたえとしては物足りない。 検察側も最高のパフォーマンスをしての勝利、という演出がないと なかなか法廷ものの醍醐味は味わえない。2024/10/31
山ろく
15
「法治国家において気に入らない相手を殴るのに最も強力な棍棒は勝訴」。裁判の迅速化のためにAI裁判官が導入され、訴訟件数が8倍にもなった近未来の日本で、勝訴のためなら法をも犯す自称魔法使いのハッカー弁護士が、AI裁判官のバグを発端に、その背後にある謎に挑む(巻き込まれる?)。私のデジタルリテラシーの低さのせいで解決部分はやや消化不良気味。登場人物は皆エキセントリック。感情移入がしづらく感じたのは、そんな人物たちによる頻繁な視点の交代が一因かも。SFガジェットによるアクションが脳内でうまく映像化できずに残念。2025/02/20