出版社内容情報
ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞の表題作
と単行本版収録の「虹色の蛇」を大幅改稿し
新作中篇「滅亡に至る病」を追加した完全版
内容説明
遠未来、天の川銀河の知的生命体は“連合”を結び、人工知能文明“知能流”に対抗しつつ辺境の恒星系を調査していた。その星系の惑星軌道は人為的に変更されていたが文明の痕跡は発見できていない。調査員イーサーは謎の種族の正体を追う―知性の本質を問う宇宙ハードSF。ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞の表題作と単行本版収録の「虹色の蛇」を大幅改稿し、新作「滅亡に至る病」を追加した完全版。
著者等紹介
春暮康一[ハルクレコウイチ]
1985年生まれ。山梨県甲府市出身。山梨大学大学院物質・生命工学専攻修士課程修了。現在メーカー勤務のエンジニア。2019年、「オーラリメイカー」で第7回ハヤカワSFコンテスト優秀賞を受賞し、同名単行本(早川書房)でデビュー。2022年、『法治の獣』(ハヤカワ文庫JA)を刊行。同作はベストSF2022国内篇第1位となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tetsubun1000mg
22
久しぶりにSFを読みたくなってハヤカワSFコンテスト優秀賞という事で選ぶが、なかなかのハードSF。 表題作の「オーラリメーカー」最後まで読み通したものの理解できなかった。 残りの2編はすんなり読めたのだが、巻末の用語集、筆者による作品ノート、SF作家の林譲治氏の解説を読んでいるうちに全体像が浮かんできた。「水・炭素生物」「知性流」などの用語が解説無しでは歯が立たなかったが、壮大なスケールを味わえた本だった。 この本を一読で理解できるSFファンは凄いと思う。2023/08/26
ふりや
18
春暮さんの作品は先に読んだ『法治の獣』が本当に大好きだったんですが、デビュー作にあたる本作も素晴らしかったです。タイトルに「完全版」とあるように、単行本に収録されていた二作を改稿し、さらに描き下ろしの中篇を加えたもの。『法治の獣』と共通する世界観で描かれる三篇はどれもクオリティが高く、かつバリバリのハードSFなので、自分を含め好きな人にはたまらない一冊と言えます。用語集や著者による作品ノートも充実。まだまだ作品数は少ないですが、これからの日本のSFを牽引していく作家の一人になるのは間違いないと思います。2023/07/29
Yuri
16
上司から『哲学っぽくて、どーかなー』と、お借りした作。私には凄く面白かったです。最初は良く飲み込めなくて難しかったですが、設定が腑に落ちた瞬間、途端に面白くて!表題作と『虹色の蛇』『滅亡にいたる病』、どれも設定を引き継いだまま違うアプローチで楽しめました。2023/10/02
オキアミ
15
SF中編集、表題作含めた3作品収録。どれも系外進出シリーズに属していて世界観を共有している。ファーストコンタクトものの側面が強く、荒唐無稽な生物の生態・関わり方を理解していく事が主な内容となっている。特に面白かったのは「オーラリメイカー」、全てが謎な状況から時系列を前後しながら核心に迫っていく流れは目が離せなかった。面白かった。2024/09/13
hexia
15
短編が三篇。いずれも<系外進出>シリーズに属し舞台設定を共有している▼白眉は表題作「オーラリメイカー」。宇宙を渡っていく不思議な生物と、それに育てられた知性、そして連合と知能流のはみ出し者がよりそって、新しい銀河系に旅立つイメージが壮大でよい。「知性とは、何かと繋がらずにはいられない」という語には考えさせられる。神なき世では他者と繋がることが最も重要な価値なのか、とか考えたりした▼筆者は作品ノートで「変な生き物を描写するのが一番楽しい」と書いている。本作も変な生き物の大集合であり、今後にも期待大である2024/05/10