出版社内容情報
弘前津軽家の門前に、口に黒百合が押し込まれた死骸が。これは和人の謀略で無残な最期を遂げた、シャクシャインの呪いなのか……
内容説明
かつて和睦と見せかけて和人はシャクシャインの一族を謀殺―最期にその口から放たれたのは「ポニ…タク…」というアイヌ民族が神に祈る呪いの言葉だった。元禄二年、弘前藩津軽家の屋敷の前で無残な骸が見つかる。忠臣の蛎崎仁右衛門の首が切断され、口に黒百合を咥えさせられていたのだ。津軽家の嫡男、信重は父のように慕っていた仁右衛門の仇を討つことを誓う。家中では藩への呪いでは、という噂があるとわかり…
著者等紹介
進藤玄洋[シントウゲンヨウ]
1958年、福岡市生まれ。映像学校を卒業後、脚本家・作家の井手雅人氏と知り合い、脚本家を志す。ドラマのプロットライターとして様々なテレビ番組の企画に携わり、1995年に脚本家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サケ太
17
珍しい題材。シャクシャインの乱を絡めた時代小説。継承される呪い。それが、もたらす事件。出会った二人の数奇な運命。面白かった。2022/04/14
coldsurgeon
6
江戸時代中期に入るころ、蝦夷地でアイヌの反乱がおき、幕府と対峙することになったことから話が始まる。ある種の復讐劇であるが、皮肉にも、そこには友情が生まれ、それが悲しい結末をもたらす。復讐はかなわなかったが、復讐の相手の息子が、別の形で復讐を果たしたのではないか。罪を犯した者は、それを忘れず背負い、赦しを耐えられず、苦しみながら生きていくことが贖罪かもしれないと、ふと思った。2022/06/25