出版社内容情報
ガス惑星FBBで行われている宇宙船漁業。そこで女性同士のペアで異例の漁獲をあげるテラとダイ、ふたりの出逢いと活躍を描く!
内容説明
人類が宇宙へ広がってから6000年。辺境の巨大ガス惑星では、都市型宇宙船に住む周囲者たちが、大気を泳ぐ昏魚を捕えて暮らしていた。男女の夫婦者が漁をすると定められた社会で振られてばかりだった漁師のテラは、謎の家出少女ダイオードと出逢い、異例の女性ペアで強力な礎柱船に乗り組む。体格も性格も正反対のふたりは、誰も予想しなかった漁獲をあげることに―日本SF大賞『天冥の標』作者が贈る、新たな宇宙の物語!
著者等紹介
小川一水[オガワイッスイ]
1975年岐阜県生まれ。1996年、『まずは一報ポプラパレスより』で長篇デビュー(河出智紀名義)。2003年発表の月面開発SF『第六大陸』が第35回星雲賞日本長編部門を受賞して以降、骨太な本格SFの書き手として活躍を続けている。2005年の短篇集『老ヴォールの惑星』で「ベストSF2005」国内篇第1位を獲得。2009年からおよそ10年にわたり展開された壮大なSF大河シリーズ『天冥の標』(全10巻)で2020年、第40回日本SF大賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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芳樹
91
遙かな未来、ガス惑星の大気圏を泳ぐ昏魚を捉えて暮らす人類。その漁船を操縦するのは『男女』の夫婦のみ、という因習をものともせず女性ペアで挑む宇宙船の操縦者・ダイオードと、想像によって宇宙船の形状を変形させる能力者・テラのバディもの冒険活劇でした。この想像次第で自由自在に船の形状が変化するというのが大変気に入りました。非常に燃える設定です。そして、丁々発止のやり取りを繰り広げながら、徐々に気持ちを通わせていくテラとダイオードの二人の様子に萌えてしまうな。SF作品と百合作品の両面から楽しめる名作と思います。2022/02/02
すしな
47
088-23.夫婦で漁をするのを伝統とする星の話です。サブカルな主人公の女子二人が冒険をしながら、その星の真実を解き明かす流れです。確かに、日本でも漁船は女人禁制という伝統があったみたいですけど、今はどうなんでしょうね。作中でも、夫婦で出漁という掟を破って漁に出る二人ですが、画期的な漁法を編み出したりとか、新たな境地を開拓していきます。ちなみにエンデバーとかゲンドーとか、エヴァンゲリオンリスペクトなんですかね。2023/08/12
こら
43
遠未来、ガス惑星で異星生物の漁をする女性二人の物語。二人のお互いの気持ちをなかなか言えないもどかしさからの、最後の危機時なんやかやでお互い告りあう時の澄んだ美しさ。ほほぅ、これが百合SFかぁ。とにかくテラさんとダイオードの会話の妙が楽しい。久しぶりにSF成分を補給してくれた!2020/04/24
まつ
33
さすが小川一水先生。いつだって超級のエンタメを魅せてくれる。遠い未来の宇宙。宇宙船で魚型の資源を獲るための『漁』をする破天荒な二人組の女の子。慣習や女であることで立ち塞がる困難を互いにぶつかり合い、支え合いながら乗り越えていくドタバタな二人のやり取りが小気味いい。おおらかな大型犬ぽいテラと懐かない猫っぽいダイオードがどっちも可愛すぎて悶える。百合百合ライトノリかと思えば、歴史設定、宇宙の描写、オチは十分にハードなSFである。ラスト三行の表現は本当にカッコよくて何度も読み返してしまった。2020/05/21
dorimusi
27
宇宙でSFで漁師で百合。そこはかとなく厨二臭も。思った以上に楽しめた。料理も服もプリンターで印刷できるところまで化学が進化したのに、男尊女卑というか女は産み育てる思想に戻るってのも不思議だけど、人口数十万人じゃ増やす努力も重要か。それでも思想的には退化感があるな……。 微妙にデコンプ?の概念にはついていけなかった。まぁSFの設定を理解しきるのは無理だと思うのでいいけど。 続きも読まねば。2022/05/01
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