出版社内容情報
2010年代の日本SFを代表する短篇20作を、大森望&伴名練が選出! 全篇解説を加えてこの10年の豊穣を集成した傑作アンソロジー
内容説明
2002年のJコレクション、2003年のリアル・フィクションなどで再生を果たした日本SFは、2010年代に黄金の時を迎えた。第一人者の神林長平を筆頭に、飛浩隆、田中啓文、北野勇作のベテラン勢、少女小説/ライトノベル出身の津原泰水、小川一水、長谷敏司、ゼロ年代デビューの上田早夕里、円城塔、仁木稔―2010年以前にデビューし、現在の日本SFを牽引する10作家を収録する、2010年代ベストSFアンソロジー第1弾。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
89
2010年代のSF作家の短編集。好きな作家の作品も読めるし、新たにお気に入りの作家を見つける楽しみもできるお得な2冊となっています。夜伽話調で語られる「アリスマ王の愛した魔物」。栄枯盛衰と繰り返しを示すファンタジーでもあり、復讐譚・艶笑譚でもあるという豪奢な物語構成に酔い痴れるしかない。しかし、算廠(莫大な数の人間の脳を壊すまでに能力を拡張させたパソコン)には『白い城』の百足型戦車同様に入りたくないものだ…。「滑車の地」で登場する泥棲生物の在り方はナウシカの腐海のよう。どうしても人間は上位でいたいようだ。2020/05/25
おかむー
81
2010年代に発表されたSF短編を収録したアンソロジー「2」も同時に刊行されており、こちら「1」はベテラン作家、「2」は新鋭作家という括りだそうです。『よくできました』。収録された10篇のうち、シンプルにエンタメとして読めるものもあれば観念的で難解なものもあるのは作家ごとの個性ですね。小川一水、上田早夕里、神林長平、円城塔などは既読の作家さん。「2」も積んであるのでいずれ読もう。2020/04/05
そふぃあ
37
自分はぶっ飛んだ作品が好きだから多分『2』の方が好みだろうなと思っていたが、そんなことは全くなかった。緻密に練られたプロットやテーマの厚みに悉く圧倒される一冊だった。 「怪獣惑星キンゴジ」:ゴジラに脳を移植するというぶっ飛びプラスどこか哀愁漂う探偵ものとして面白おかしく読んでいたらやられた。「海の指」:収録作の中で一番好き。『ソラリス』の変奏のように思う。切ないがカタルシスのある最後も良い。 腐海や蟲が好きならハマるであろう「滑車の地」や、決して姿を表さない故に恐怖を感じる「大卒ポンプ」も面白かった。2021/02/10
なっぱaaua
33
2010年代のSF短編傑作選。こちらは大森望氏セレクト。既読は「アリスマ王の愛した魔物」のみ。傑作選だけにどれも面白かったが、上田早夕里「滑車の地」、神林長平「鮮やかな賭け」、飛浩隆「海の指」、長谷敏司「allo,toi,toi」が好みだった。編者あとがきにある通り新人SF作家が大量に登場し活躍し続けている。ゼロ年代も凄かったけど10年代もなかなかなものである。『1』『2』に入り切らない作家さんでも素晴らしい作品を生み出す方が増えてきて、SF好きにはうれしい限り。~続く~2020/07/12
塩崎ツトム
33
小説新人賞に投稿する作品を書き終わったところで読んだので自信を失う。どれを読んでも傑作。ベテラン勢とはいえ、グギギくやしいのう。【北野勇作】「本当に申し訳ない」【田中啓文】さだめは死【長谷敏司】何度読んでも傑作性がぶれない作品。2020/03/26