出版社内容情報
死の予兆が見える志緒と、相棒の佐藤くん。財産を相続しそうな志緒の友人・獅加観飛鳥に死線が現れ、二人は彼女を護ろうと……。
内容説明
人が死ぬ予兆がみえてしまう志緒のため、僕は、その死を防いできた。高校生の時から大学生になった今も―志緒の友人、獅加観飛鳥に“死線”が現われた。幼少期に故郷で“鬼”に追われて神隠しにあった経験を持つという飛鳥には、いま莫大な財産の相続話が。そして獅加観家の一族―言動不可解な芸術家、軽薄な私立探偵、狐面をかぶる医者にも死線が…僕は死を止めるため、策略を発動する。優しい嘘をつきながら…
著者等紹介
井上悠宇[イノウエユウ]
2011年に第16回スニーカー大賞優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむー
63
前作の仕掛けから続篇はないだろうと思ってたけれど2が出たよどうすんだコレ、という心配も杞憂に終わってよかった。『よくできました』。前作ではいわゆる館モノでほぼ会話劇だったものが、今回は趣をかえて横溝正史オマージュ。死が迫る人に現れる“死線”を見るヒロイン志緒とともに「誰も死なせない」ために縦横に絡み合う謎に挑む主人公・佐藤。ミステリとしての仕掛けの読み応えもありつつ、全体を陰鬱にせずそれでいて緊迫感も失わない範囲で差し挟まれる軽いノリがとてもよいバランス。ただヒロイン・志緒の存在感が弱すぎるのが難。2020/02/13
坂城 弥生
50
今回はミステリーによくある巨額の遺産相続と一族の謎。でもタイトル通り誰も死なない。2021/06/10
うまる
47
続編。莫大な遺産相続という殺人事件うってつけの舞台で誰も死なないミステリを描く事はできるのか?! 死線がわかるからこそ、その変化に驚きを感じながら読める良くできた構成で面白かったです。死期が見えるだけではなく、そのレベルという概念を取り入れたら、こんなミステリもできるんだなと感心しました。ヒロイン父が授ける将来必要なアイテムをどう使うのか考えながら読むのも面白いです。 前作同様主人公のつっこみ的な地の文が楽しい。特に伊勢海老の所とハンカチ鼻かみ問題(また出たよ)に笑いました。 最後の犯人の回想も良かった。2021/06/07
よっち
45
人が死ぬ予兆がみえてしまう志緒の幼馴染・獅加観飛鳥に死線が現われ、莫大な財産の相続話の相続人候補である彼女の死を止めるため佐藤が志緒とともに奔走する第二弾。今回は趣向を変えて遺産相続にまつわる殺意を回避しようとする展開で、相続人候補である言動不可解な芸術家、軽薄な私立探偵、狐面をかぶる医者にも死線が現れる中、ゴリラ先輩が地味に使い勝手良い存在でしたが、選択によって変わってゆく死線の対象と、浮かび上がってきた真相がなかなか印象的な結末でした。未だ友達以上恋人未満な二人には今後の進展を期待したいところですね。2019/09/08
ネムコ
44
平易で読みやすい文章、適度にキャラが立った登場人物、魅力的な設定。良いシリーズなんだけど、比較的すぐに頭から抜けてしまうのは何でだろう。死の運命が見えてしまうGFの志緒のため、誰も死なせないようにがんばる佐藤くん。真実を追求するのではなく、真実をねじ曲げてでも誰も死なないことを目指すというスタンスが新しい。今回も面白かったです。2019/10/31