出版社内容情報
18人の女の子たちが800万年前の北アメリカへとタイムトラベル。生命の進化史を賭けた大冒険が始まる!青春ハード百合SF群像劇
内容説明
星智慧女学院3年A組の生徒たち18人とこの宇宙の命運を決定的に変える事態が起こったのは、空上ミカが八倉巻早紀を見つめていたときだった―突如現れた怪物の襲撃により、大混乱に陥る教室。そこに現れたAI生命のシグナ・リアは、彼女たちがあるゲームに参加しなければ、人類は消滅してしまうと告げる…800万年前のサバンナを舞台に、生物種の進化史を賭けた大冒険が幕を開ける!渾身の青春ハード百合SF群像劇。
著者等紹介
草野原々[クサノゲンゲン]
1990年生まれ。広島県出身。慶應義塾大学環境情報学部卒、北海道大学大学院理学院在学中。2016年、『最後にして最初のアイドル』が第4回ハヤカワSFコンテスト特別賞を受賞し、電子書籍オリジナル版として配信され作家デビュー。同作は2017年に第48回星雲賞(日本短編部門)を受賞し、自身も第27回暗黒星雲賞(ゲスト部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
57
微妙。ヒトが万物の霊長ではなくネコがそれに成り代わるよう改変された世界。一クラスの女子高生が世界改変に挑むという内容。視点が変わる群像劇だが、その為か一人一人の印象が薄くなってしまっているような。あと現代の日本SFで流行っているらしい百合を取り入れているとの事だが、その為か宇宙の改変という大きな物語が人間関係という小さな世界の中に収斂されてしまっているような。宇宙改編の理由付けはSF的なのだが、その後は戦車と銃を武器に淡々と進む。先に読んだ某作品もそうだけど、現代日本SFはどうも自分には合わないみたい。 2021/06/29
まりも
40
突如800万年前の世界にぶち込まれた女子高生たちによるハード百合群像劇デスゲームここに開幕。掴みは抜群。見た目は最悪だが、食べてみると意外とイケる的な他ジャンルごった煮の闇鍋系。登場人物もこれまた多くその癖して、キャラの掘り下げは不完全。だがそれが不快という訳でもなく、何故か最後まで読めてしまう。そんな謎すぎる魅力が著者の魅力なんだろうなと。読者が不快にならないちょうど良い塩梅の悪ふざけといった感じだろうか。恐ろしいのはこれがシリーズ物だという事。すげーな。2019/06/06
サケ太
29
エグすぎるが、人を選ぶが、最高に面白い。突如人類の進化を賭けたゲームに参加させられた少女たち。生死の危うい状況。古代に送られるという、異常事態で浮かび上がる複雑な人間関係の変化。否応なしに自分を見つめなければならない。悪辣なシンギュラリティAIの存在。濃密な描写が恐ろしい。2019/04/25
geshi
26
動物の進化って結局は殺しあいじゃない、と割り切っている作中に名前が出ていた『けものフレンズ』へのアンチテーゼ的デスゲーム。ゲスさとグロさを押し出しつつ百合をやるバランスは著者らしいけど、設定以上には面白くならなかった。群像劇にしたことで一人一人の感情の揺れは描けていたが、どこにもフォーカスしきれずぼやけてしまった印象。諸悪の根源であるAI生命が胸糞すぎて、どうにかする展開にして欲しくななっていたのに、引かれたレールの上をただ走るだけで終わってしまったのがモヤモヤする。2020/06/20
ゆなほし
26
星智慧女学院3年A組の18人が800万年前の地球を舞台に生物種の進化史を賭けたデスゲームを繰り広げる―。これこれ、この感覚。前作「最後にして最初のアイドル」を読んだ時に感じた、理解を超えた超原理を生き生きと語る文章の読み手を突き放した感じ、反対にいかにも平凡な登場人物との不自然な程の緩急、脳内映像化不可能な程のグロテスクな描写の連続で頭がおかしくなりそうでいっそ心地良い読了感。今作も著者の唯一無二の長所と、スパイスとなる短所が惜しみなく注ぎ込まれた作品で大満足。是非続刊を期待したい。2019/06/12