出版社内容情報
準惑星天涯でガイナスに辛勝した人類。しかしその勝利は、出雲・壱岐両星系の政治・軍事各所に微妙な軋轢を作り出すことになる。
林 譲治[ハヤシ ジョウジ]
著・文・その他
内容説明
準惑星天涯でガイナスに辛勝した人類。しかしその勝利は、出雲と壱岐の政治・軍事各所に微妙な軋轢を生みだした。コンソーシアム艦隊の作戦行動が政治主導で制限されることを危惧する左近健一大将は、腹心の香椎士郎中将を司令長官とする壱岐方面艦隊を編組。一方、壱岐の軍需工場を巡り、タオ迫水筆頭執政官と火伏礼二兵站監は攻防を繰り広げる。さらに天涯の探査システムが正体不明の小惑星を発見し―シリーズ第2弾。
著者等紹介
林譲治[ハヤシジョウジ]
1962年北海道生まれ。臨床検査技師を経て、1995年『大日本帝国欧州電撃作戦』(共著)で作家デビュー。確かな歴史観に裏打ちされた架空戦記小説で人気を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おかむー
74
宇宙SFミリタリーシリーズ第二巻。美形の総督は存在せず、派手な艦隊戦もないけれど読ませてくれる独特な作品。『よくできました』。前作ラストで明かされた衝撃の事実から敵・ガイナスの正体が見えるかと思いきやそこは進まない。今作で目立つのは政治的な駆け引きの結果、悪材悪所ともいうべき結果となった香椎・アイロスふたりの指揮官と、対照的に有能さを見せる火伏・迫水両夫人の暗躍。火伏夫妻のやりとりは作中でも随一のユーモラスな部分「八重さん、とりあえず落ち着こう」2019/06/16
パトラッシュ
60
第2巻のテーマは野心。自分こそ英雄たるにふさわしいと信じる軍幹部や自らの成功体験に執着する実業家が、ガイナス戦の勝者に取って代わらんと野心を抱く。甘い考えで実行された作戦による多大な犠牲も、彼らには必要な損害でしかない。そんな連中の愚行を英雄願望とは無縁な兵站や行政の実務担当者が後始末し、最低限の痛みでことを収めようと奔走する。「戦争とは他の手段をもってする政治の継続である」との言葉は有名だが、ここでは戦争を官僚組織による行政の一部とみなし、英雄も政治もない方が結局は成功するとの逆説的な見方が提示される。2020/09/06
fukumasagami
40
潘種船により地球を離れた人類が作った五星系文明に接触した異星文明ガイナス。異星文明に占拠された壹岐星系の準惑星天涯の奪還戦。平和ボケしている人類に勝機はあるのか?2021/06/05
わたなべよしお
28
やっぱり買ってしまいました。仕方ないよね、面白いもの。ということで、「2」ですが、なかなか政治的な内容で、できない人たちの少し悲しい話になっています。途中経過としては、アリのストーリーかなとも、思うし、これでは「3」に進まざるを得ない展開です。まんまと乗せられた感じですが、乗せられたまま進行します。次が楽しみだから。2022/03/05
tom
25
おバカな指揮官がいました。現場のことは何もわかっていないのに、行政畑で順調に出世してきたものだから、自分には能力があると妄想を持ってしまう。これが原因で、異星人との戦いに大敗を喫してしまう。でも、兵站部署は、そのことが分かっていて、失敗したときの手当てを、あらかじめ考えていた。これに類したエピソードがあちらこちらに。とにかく、異星人が現われて、地球は大変、大騒ぎ。このシリーズ、まだまだ続く。楽しめたらいいなあと思いながら、次巻を図書館に注文。2020/10/24