出版社内容情報
由起谷主任が死の床にある元上司の秘密に迫る表題作、ライザが特捜部に入る以前を描く「済度」など、本篇にも繋がる珠玉の全八篇
月村 了衛[ツキムラ リョウエ]
著・文・その他
内容説明
最新型特殊装備“龍機兵”を擁する警視庁特捜部は、警察内部の偏見に抗いつつ、国際情勢のボーダーレス化と共に変容する犯罪に立ち向かう―由起谷主任が死の床にある元上司の秘密に迫る表題作、特捜部入り前のライザの彷徨を描く「済度」、疑獄事件捜査の末に鈴石主任が悪夢の未来を幻視する「化生」など、全8篇を収録。着想の妙と研ぎ澄まされた世界が広がる、2010年代最高のミステリ・シリーズ初の短篇集。
著者等紹介
月村了衛[ツキムラリョウエ]
1963年生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。2010年に『機龍警察』で小説家デビュー。2012年に『機龍警察 自爆条項』(以上、ハヤカワ文庫JA刊)で第33回日本SF大賞、2013年に『機龍警察 暗黒市場』(ハヤカワ・ミステリワールド刊)で第34回吉川英治文学新人賞、2015年に『コルトM1851残月』(文春文庫刊)で第17回大藪春彦賞、『土漠の花』(幻冬舎文庫刊)で第68回日本推理作家協会賞を受賞。2017年に上梓したシリーズ長篇第5作『機龍警察 狼眼殺手』(ハヤカワ・ミステリワールド刊)は、「ミステリが読みたい!2018年版」国内篇の1位を獲得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶち
95
シリーズ初の短編集。特捜部部員の過去や機龍兵とは直接関係しない事件が語られていますが、サイドストーリーとして簡単に片づけるわけにはいきません。どれも読みごたえのある水準以上の傑作ばかりです。この短編集を読んだら、今まで以上に個々の登場人物たちに感情移入し、より一層肩入れしちゃいます。 それにしても、最後に置かれた短編「化生」には、ビックリしました。シリーズの今後にも大きく影響するであろう龍機兵の核心的な機密やあの"敵"の動きが語られているんです。この短編は見逃すことができません。2024/01/22
のり
79
8話からなる短編集。しかし読み応えは十二分。相変わらず特捜部は他の部所には敵対視されている。こんな扱いされたら気が滅入るだろうなぁ〜。しかし、結束は深まりつつあるし、皆有能で自分が何をするのか理解し行動する。犯罪に迫る技術開発をめぐる裏社会の動きも不気味だ。この先も楽しみ。 2021/09/23
sin
65
失礼かもしれないが、龍機兵の存在するユニバースには勿体ない警察小説が散見する短編集だ。特に“火宅”、“雪娘”、“沙弥”に異色な“勤行”は優れた作品だ。また“済度”の様な情景の豊かなスパイ小説もあり、かと思えば消耗品であるアフリカ内乱の少年兵の実情を垣間見させる“輪廻”は、人間の持つ際限のない暴力性と云う闇の部分を目の前に突き付けて…もうこれはフィクションでコーティングされた現実であることに心が痛む!2020/05/20
p.ntsk
65
シリーズ5作目にして初の短編集。長編で描き切れない人物描写や周辺事情を描いた8つのエピソードで機龍警察の世界観を補完しています。特に印象に残ったのは沖津部長と出会う直前のライザのエピソード「済度」。特捜部の中ではうるさ型で憎まれキャラの宮近理事官の人間臭さが描かれた「勤行」。警官を志した若き日の由紀谷を描いた「沙弥」。ラストの「化生」は出自不明の龍機兵の秘密の核心の一端に触れられ今後の展開にいっそう興味が湧きました。同時に沖津部長と《敵》に関する謎は深まるばかりです。[共読反映の為登録] 2019/05/13
Sam
51
機龍警察シリーズはその壮大なスケールと複雑なプロット、登場人物の多さと入念な描き込みといった特徴からすれば大作こそ相応しいと思うのが道理であり、「短編?」と首を傾げながら読んだのだが、結論からいうとどれも佳品で十分に楽しめた。もはや独立した作品というよりはここまでのシリーズの一部なんだな。2021/11/23
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