出版社内容情報
その夜、世界は闇に包まれた――北海道・知床を舞台に未曾有の宇宙災害に立ち向かう人々を描く、第5回SFコンテスト最終候補作
内容説明
東京で仕事に倦んだプログラマー香山秀行は、テレワークの体験で北海道・知床の斜里町を訪れる。その夜、空一面に赤いオーロラが発生。街中で停電に見舞われた。それは超巨大な太陽フレアによるもので、全世界の通信・交通網もすべてストップ。完全な復旧には少なくとも数年かかるという―親切にしてくれた北海道の人々のために、自分に何ができるのか?世界停電という現実に起こりうる危機をめぐる、人と社会の物語。
著者等紹介
伊藤瑞彦[イトウミズヒコ]
1975年生まれ。東京都出身。Webデザイナー、ITエンジニア。『赤いオーロラの街で』が第5回ハヤカワSFコンテスト最終候補となり、作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
175
書店でふと見かけて手にとった作品です。やはり帯に'北海道'と書いてあれば、道民としては読まずにはいられません。超巨大太陽フレアが発生し、全世界が停電になるパニックSF作品ですが、ガッチガチのSFモードではなく、むしろ北海道は舞台の道東らしく、ある意味のんびりとしながらもたくましく生きていく人々の姿にココロ打たれました。今の世の中、当たり前となっている通信や交通網が遮断され、日常生活の全てが失われたトキ、どうなるのか。考えただけでも正直、想像もつかないですよね。もしこんな日が現実になったらと思うと恐いです。2018/04/08
KAZOO
104
小松左京の「首都消失」を読んでいた時に、おきにいりさんが紹介してくれた、太陽フレアの本です。東京で働いていた主人公がテレワークで北海道の斜里町で全世界的な太陽フレアの影響で停電に出会います。(私は停電だけでは済まないという気もするのですがー根拠はないのですが)それから周りの人々などの助けを借りて東京に戻ったりしますが、再度北海道に戻って未来のある感じで終わります。2024/02/21
あつひめ
64
明日は我が身と思った。電気がないということは今の時代には命を落としかねない状況でもある。季節は6月。もし今年のような猛暑だったら…または、冬に近い頃だったら…といろんなことを想像してしまった。専門用語が多くて読書を楽しむというのとは違ったけれど、現実でもこういう様々な動きが災害時にあるのかなぁとか一般市民には明かされてないこともたくさんあるのかもと不安と安心がシーソーのように揺れる。今、水害の大変な時でもあるから、心構えも必要だなと思った一冊。行動力、想像力が生きる源でもあるのかもしれない。2018/07/24
南雲吾朗
51
「未必のマクベス」の早瀬耕氏が北海道胆振東部地震後に起きた停電時にTwitterでこの本の事を呟いていたため、興味がわき購読。太陽のスーパーフレアによる災害をパニック感満載で悲惨に描いているものと想像しながら読み始めたら、予想を非常に良い方向へ裏切るヒューマンドラマであった。宇宙物理学者の柴田一成氏が後書きでも触れている様に科学的な事は、非常に詳しく正確に描写してある。そのうえで、さらに物語としてすごく面白く読める。早瀬氏と言い伊藤氏と言い北海道には非常に面白い作家さんがいらっしゃるのだなと思った。2018/12/29
キャプテン
41
★★★★☆_「それなりに北の国から〜フェア〜」第三弾。今日僕は斜里の本を読んでいるわけで…。この作品は太陽風で世界中が停電する「もしも」をえがいているものの…この手の作品にしては珍しくサスペンス性が低いわけで…。真の闇からしたたかに奮い立つ人々の姿に心を打たれたわけで…。便利によってどこかに置き去りにしてきた「生きる知恵」が…とても大切だったこと…六郷の父さん自作の家が改めてすごいものだったと思い知らされたわけで…。生きる知恵を呼び起こす…「何とかしようと思う心の力」を養っていきたいわけで…。♫アーアー…2018/11/09