内容説明
地軸が90度転倒し、南北両極が赤道地帯に移動する“大転倒”によって、地上の人類は全滅した。幸いにも月面に難を逃れた人々は地上に七つの都市を建設し、新たな歴史を繰り広げる。一方、月面都市は新生地球人類が月を攻撃するのを恐れるあまり、地上500メートル以上を飛ぶ飛行体すべてを攻撃するシステムを設置し、これが稼働状態のまま疫病によって滅び去ってしまう―この奇妙な世界で七都市をめぐる興亡が幕開く!
著者等紹介
田中芳樹[タナカヨシキ]
1952年熊本県生まれ。学習院大学文学部大学院修了。1978年幻影城新人賞に、李家豊名義の「緑の草原に…」で入選するも、雑誌「幻影城」の休刊とともに一時執筆を中断する。大学院修了後の80年にSFアドベンチャー誌に再デビュー。82年に発表したスペースオペラ『銀河英雄伝説』がベストセラーとなる。以後、人気作家の地位を確立する。ほかに『紅塵』など中国歴史小説の著書も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむー
60
旧版は感想なしの既読だったのでこのさい新版で登録しなおし。『よくできました』。ポールシフトの起こった地球、7つの都市国家に分れた人類、高度500ⅿ以上は撃墜されるシステムと、わかりやすい個性的な設定とわかりやすい個性的なキャラクターでサクサク読める。まぁ読みなれてくると主要キャラの“戦略の天才”っぷりと負ける側の“凡庸・無能”っぷりが出来過ぎではあるのだけれど、それゆえに勧善懲悪にも似た爽快感があるのが田中作品というものですね。新版で追加された一篇は本編にはまるで影響しない世界設定を使っただけのおまけ。2020/06/14
サケ太
23
破格の楽しさ。未曾有の大惨事にて“大転倒”によって文明がリセットされた地球。月から移住した人々は月面都市の人類によって“空”を奪われた。残された七つの都市は愚かしい闘争を繰り返す。その闘争の中で頭角を現していく名将たち。“AAA”、“ケネス・ギルフォード”、“ユーリー・クルガン”、“ギュンター・ノルト”。未来世界でさえかつての歴史の教訓は生かされず、多くの人々が戦争の犠牲となる。壮大な歴史叙事詩。新版に収録されている「「帰還者」事件」も面白い。奇妙な世界で繰り広げられる人間の悲喜交々。素晴らしかった。2019/06/24
BUBI
22
同棲中の彼氏の家にあったので、久々に読んでみました。すごく面白かった記憶があったんですが、うん、やっぱり面白い。戦争って物量が多い方が勝つのは当たり前ですが、不利な方が知略で相手をぎゃふんと言わせるシーンにはエクスタシーを感じます。もちろん戦争なので実際は凄惨なのでしょうけど、田中芳樹作品は銀英伝もそうですが純粋にフィクションとして戦いを楽しむことができます。面白かったー2023/04/22
GM職員
21
初・田中芳樹氏、一気読み!壮大な設定でいくらでも話を繋げられそうだけど、無理なく無駄なく纏まって、そして当たり前のように面白い!連作形式なので各話で舞台となる都市と主役級人物が変わるのだけど、まぁみんな見事に跳ね返っていてGOOD(笑)。最終話でひねくれ三英傑が結集する様はニヤリ&胸熱。でもやってることは戦争だから、一兵士レベルの戦場は悲惨。そして、戦場の痛みの実感など無い政治家に対するやりきれない苛立ち。人は結局、歴史から何も学ばないのか…。さて困った、こうなったら『銀英伝』読んでみたいなぁ。2018/07/07
本木英朗
20
日本の現代SF作家のひとりである、田中芳樹の長編のひとつである。俺は旧版でそれこそ20回以上読んでいたが、どこにいったか分からず仕舞いなので、改めて新版を読んでみた。地軸が90度転倒し、南北両極が赤道地帯に移動する大転倒によって、地上の人類は全滅した――という話から始まるのだが……。うーん、やっぱり今の俺的にはダメだったとしか言えないかな、うん。最後の「帰還者亭事件」はよかったけれどさ。……とりあえず以上です。2023/05/05