出版社内容情報
デビュー長篇『Gene Mapper』の前日譚「コラボレーション」、近未来の皮肉な戦場を描く表題作、「第二内戦」ほか全5篇を収録。
内容説明
2024年、上海の日系ゲーム会社に勤める元軍人の趙公正は、春節休暇で故郷の新疆へと帰る途上、思いもかけない“戦場”と遭遇する―近未来中国の対テロ戦争を活写する表題作と、保守と革新に分断されたアメリカを描く「第二内戦」という同一世界観の2篇、デビュー長篇『Gene Mapper』のスピンオフ「コラボレーション」、量子テクノロジーが人類社会を革新する「常夏の夜」など全5篇収録の、変化と未来についての作品集。
著者等紹介
藤井太洋[フジイタイヨウ]
1971年奄美大島生まれ。2012年、ソフトウェア会社に勤務する傍ら執筆した長篇『Gene Mapper』を電子書籍で個人出版。異例の話題を呼んだ同作は、大幅な加筆修正を施した増補完全版『Gene Mapper‐full build‐』として、2013年に商業出版された。続く2014年、第2長篇『オービタル・クラウド』(以上、ハヤカワ文庫JA)で第35回日本SF大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむー
88
新鋭SF作家のなかでも安定感のある藤井太洋による短編集。五篇の物語それぞれに、AI、量子コンピューター、ドローンによるテロ、四足歩行ロボットなどなど、現在の技術や情勢の先にあり得るギミックによって変わる世界が描かれる。なかでもタイトル作『公正的戦闘規範』でのギミックと戦闘風景は『メタルギア』か『虐殺計画』かといった趣が特徴的。ディストピア的設定でありながら絶望感や悲壮感で重苦しくならない作風が好感触ですね。『たいへんよくできました』2017/11/05
マドロス
61
完全に今とつながっている未来。新たなテクノロジーもあれば、今を引きずる遺産もあり、かなりリアルな映像として目の前に現れる。これぞSF。2017/09/06
sayan
58
正直に書くとIT系単語に翻弄され少々疲労感あり。収録作品の「公正的戦闘規範」と「第二内戦」は過去読んだSF作品と共通点があり興味深かった。前者は、テロ、戦争、そしてどこにどうテクノロジーが絡んでくるのか、「倫理」や「道徳」まで射程にいれた内容で短編ながら考えさせられる。以前、戦争倫理学という講義を履修した事があるが、その時の議論内容を思い出す。ロールズ、眞島、ゲームの王国(上・下)等の書籍が懐かしい。後者は、アメリカン・ウォー(上・下)にもつながるが、「銃規制」という切り口から見た話はリアリティがあった。2018/03/04
とくけんちょ
54
読みやすいSF短編集。それぞれの作品で世界観が出来上がっている。SF小説の中には、想像することだけで疲れてしまい、物語に入っていけないこともあるが、本作は、心配いらない。近未来をベースとしながらも、それ以外のスリリングであったり、楽しめる要素がしっかり入っている。AIとゲームと人と戦争と、考えさせられる内容もある。2019/02/13
ケンケン
44
(557冊目)久しぶりの藤井作品。AI、量子コンピュータ、ドローン、IT、宇宙とSF要素満載で、分からない専門用語もあるが夢中にさせる展開があり、大いに楽しめた作品集。特に、『常夏の夜』『第二内戦』『軌道の環』が気に入った。装幀画のおかげで表題作がイメージしやすかった。刊行予定の『ワン・モア・ヌーク』『東京の子』にも期待したいです!2018/02/16
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