出版社内容情報
谷 甲州[タニ コウシュウ]
内容説明
第1次外惑星動乱終結から11年、太陽系に急接近する人工物体、射手座重力波源(SG)を探査するため、航空宇宙軍は観測艦ユリシーズを派遣する。だがそこで艦長のロックウッド大佐が見たのは、汎銀河連合により滅亡の淵に瀕した人類のヴィジョンだった。同乗する作業体Kは、過去に干渉してユリシーズを救おうとするが―シリーズの集大成たる長篇『終わりなき素敵』全篇を収録する“航空宇宙軍史・完全版”第5弾
著者等紹介
谷甲州[タニコウシュウ]
1951年兵庫県伊丹市生まれ。大阪工業大学土木工学科を卒業後、建設会社に勤務。退社後は、青年海外協力隊(ネパール)に参加しつつ、1979年“奇想天外”誌にてデビュー。『コロンビア・ゼロ新・航空宇宙軍史』(早川書房)で第36回日本SF大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぽんすけ
17
余韻がすごい。この巻に今までの話の全てが帰結している。作業体K、ロックウッド、シマザキ彼ら登場人物がこういう風に絡んでくるのかと只感嘆。でも作業体KはSGに導かれるように中心体の奥へと進んで、その場所で汎銀河世界の創始者となったわけなのに、そのSGは生み出された判銀河世界に対抗するための超光速航行技術を過去の太陽系に送ってくるという、卵が先が鶏が先か現象で頭が混乱してくる。結局SGとの接触により航空宇宙軍の外宇宙への拡大が地球を滅ぼす原因になったと考えると皮肉だ。敵を求めひたすら外へ。まさに終わりなき索敵2025/03/31
タカシール
17
一~四ももちろんスケールは大きいけれども、本作のスケールは超桁違い。そして描写も。これまで通りのハードウェアSFに加えて本作では独特の死生観のようなものがからまってくる。時代が進み、科学技術が進歩しても人が変わらないことを予言している。難しいことは抜きにしてもおもしろいことに変わりはない。2017/05/31
鐵太郎
14
昔1996年にこの本が出たとき、どう読んだだろうか。いまこれを読み返してみて、読みやすいストーリー展開のところと共感しづらいところとがくっきりと浮かびあがったのが不思議。航空宇宙軍という、国家国民の軍ではなく自分たちの存在維持のための統制、軍政しか頭にないとしか思われない組織と、軍人としての生以外に何もない軍人たちの何度も繰り返される生き方に違和感あり。とはいえ、これは日本人による一つのSF的到達点といえるのかもしれない。その方向性が自分と波長が合うのか合わないのか、しばらく考える時間が必要かも。2017/07/14
duzzmundo
11
外惑星動乱が終結し、人類は外宇宙へ進出。そこで発見した人類の末裔と思われる汎銀河連合との戦争が今回のメイン。あとがきに「相対性理論の理解がある程度必要」と書いてあるように、ハードSFが苦手なもので前半はちょっとわからないところもありましたが中盤からはおもしろかった。ハードSFからニューウェーブ的なものまで内包した宇宙軍史はこれにて終了。現実も同じようなことが起こってますが、シリーズを通して人類は未知なるものを求め、それと相入れないと常に争いを起こすものとして描かれていました。困ったものです・・。2022/03/16
やすお
8
航空宇宙軍史の最終巻。最後は斜め上の方向に飛んでいってしまう。宇宙と人類が一体化したような物語になり、ちゃんと読まないと振り落とされそうだ。それにしても、シリーズ最初の方は太陽系内の戦争と政治をリアルに描き、本書の「終わりなき索敵」では異次元の宇宙空間やサイバー空間のようなところを舞台にする。とても同じシリーズの作品ばかりだしとは思えない。たくさんの登場人物や場所が出てきて、とっちらかる感じになるのかと思いきや、最終的には一本の筋が通り、壮大な歴史が語られる。見事な作品だ。2020/03/05