出版社内容情報
その傑作以前を描く虚無の物語、新装版で登場戦地での悲劇に苛まれる男と、万能兵器として開発されたネズミ。ふたりを待ち受けていたのは、あまりにも壮絶な運命だった──。
内容説明
戦地において友軍への誤爆という罪を犯した男―ディムズデイル=ボイルド。肉体改造のため軍研究所に収容された彼は、約束の地への墜落のビジョンに苛まれていた。そんなボイルドを救済したのは、知能を持つ万能兵器にして、無垢の良心たるネズミ・ウフコックだった。だが、やがて戦争は終結、彼らを“廃棄”するための部隊が研究所に迫っていた…『マルドゥック・スクランブル』以前を描く、虚無と良心の訣別の物語。
著者等紹介
冲方丁[ウブカタトウ]
1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』でスニーカー大賞金賞を受賞してデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞受賞。マンガ原作やアニメ脚本も手がけ、ジャンルを越境して活躍。2009年、初めての時代小説『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ずっきん
77
ああああ、読みにくい! でも、すっげえ面白いいいい! ボイルドかっけえ。ウフコック可愛い。物語は縦軸横軸レイヤー重厚で文句なしに面白い! スクランブルより好き! でも、クランチ文体むちゃくちゃ読みにくい! プロローグが100???と思ってたら、なるほどね。二人の決別まで減っていくのか。ううううぅぅ、ゼロ読みたくねえええええ! 読むけどさ。さあ、2へ。2021/02/04
Sato19601027
49
前シリーズで少女バロットの敵役を演じたボイルドを主役にした前日譚。戦争が終結した世界で用無しとなった最強の兵器人間は、法で禁じられた科学力の一時的な行使を認めるマルドゥック・スクランブル・09法の設立で能力を開放する。あたかも漫画のコマ割りのようなクランチ文体が、独特のリズムを作り出す。戦士ボイルドのキャリア回復ー覚醒剤中毒の克服/疑似重力発生装置の体内移植/無睡眠活動の被検体。相棒は、ネズミ型変身兵器であるウフコック。そして後半はオードリーの自殺の謎に迫るミステリ。これからの展開にワクワクする。2024/03/24
明智紫苑
43
『アノニマス』を読むまでの復習としての再読。ウフコックがまだ若造だった頃のお話。『スクランブル』より登場人物が多いが、09メンバーたちは全員魅力的だ。しかし、『スクランブル』よりもはるかに残虐性が高い辺りは読者を選ぶだろう。この小説はミステリー小説の要素を含むので、あまりネタバレ記述は出来ないのね。2016/03/24
geshi
22
『スクランブル』を読んだのがかなり前なので、内容をあまり覚えてないので、読み返せばよかったと反省。/や=や――を多用し、体言止めの多い独特な文体は、小説というよりもアニメ脚本をそのまま読んでいるような感覚。スピード感とイメージはしっかり伝わり、次第にのめり込んでいくから、読み始めの印象よりもずっととっつきやすい。濃すぎるほどのキャラのたった09メンバーたちのやり取りや、特殊能力の活躍を見るだけでも楽しい。その分、最後に訪れるであろう破滅の予感に冷やりとする。2015/04/06
ジーザス
18
辟易するようなレイプ、過激な拷問。スクランブルの前日譚。狂ってるというのが正当な評価だろう。ヴェロシティの序章は、複雑で難解な語り口でした。隙間時間などではとても理解出来ないと思うので、時間に十分な余裕を持って読み進めてほしい。宿敵ボイルドになる前の硬派ボイルド。純粋なウフコックとの関係がどのように変化していくのか?壊れるのか?引き裂かれるのか?それとも…。簡単ではない物語だが読み応えは、抜群!シリーズは、手元に集め何度も繰り返し読む程に自身の中に根付くだろう。2024/06/19