内容説明
新種の原虫アイメリア・シオンを体内に取りこみ免疫力を向上させる、「虫寄生医療」の開発者・新海英知。失った過去の記憶を取り戻す療養中に、体の欠損部の“再生”に気づいた常和峰。親友の二人が人生を懸け叶えようとする、無邪気な少女ハルカに秘められた“弱竹の姫”の願いとは?人類の夢たる医療革命が倫理の一線を突破するとき、シオンは宇宙の秩序を問う試金石となる―。傑作メディカル・バイオSF完全版。
著者等紹介
三島浩司[ミシマコウジ]
1969年生まれ。関西大学工学部電子工学科卒。電気関連会社退社後、小説執筆を続ける。『ルナOrphan’s Trouble』で第4回日本SF新人賞を受賞し、同作で2003年にデビュー。2011年、ハヤカワSFシリーズJコレクションより『ダイナミックフィギュア』を刊行。ベストSF2011「国内篇」第3位にランクインした(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とろとろ
31
バイオSFみたいだな(^o^)。発想は面白いから、ただこれ一点に集中して話が進めばよかったのではないかと思うが、物語の要素にいろいろな事を盛り込みすぎて話はブツブツのブツ切れで最後は無理矢理無理強いみたいな……。「ダイナミックフィギュア」の時も、長い話の中で行政組織がどうのこうの、国連がどうのこうのと、こんな非常時になんだよと思うような話が繰り返し出てくると思ったけれど、これもなんだかそんな傾向。そろそろ見切りどきかなぁ。2015/10/17
キキハル
25
すべては還るべき形に、還るべき場所に。アイメリア・シオンという鳩由来の寄生虫を体内に取り入れる虫寄生医療。飛躍的に健康が増進されるのだが、実はシオンには隠された驚愕の利用法があった。厚労省や医師会との軋轢。イナホと呼ばれる人たちの出現。レース鳩たち。そしてかぐや姫伝説。ミネとシンカイ、ハルカの三人を軸に物語は進む。荒唐無稽な場面や無理やりな展開もあるが別にいいのだ、面白いのだから。ただ誰が幸福になったのかと疑問に思う。あまりにも躍進しすぎた化学は時に人を置き去りにする。進化とは両刃の剣なのかもしれない。2012/04/15
yason
5
SFの醍醐味、論理の飛躍を存分に楽しめる。少し飛躍しすぎな気もするが。2013/12/05
Masashi Umezu
4
最初は、バイオ系SFというよりも、医療系のミステリーみたいな感じで淡々と進んでいく。 医療系の知識がないからよくわからないが、システムの理論もそれなりに筋が通ってて、正統派なSFを感じさせる。 半分を過ぎても、なかなか先の展開もオチも想像つかないけど、シオンシステムが突然人類に牙を剥いて、位の展開を予想しながら、読み進めると、 2/3あたりから突然、ちょっとファンタジーな宇宙旅行系のSFみたいな感じに変貌する。 なんと、牙を剥いたのはシオンシステムではなく、ストーリーそのものだった。 これはやられた。 22012/03/16
satsuki
3
鳩レースと医療政治とSFの話。SFとしてのネタは悪くなかった。ただ鳩レースと医療政治、SFネタの三者がツギハギされているような感じで、上手くまとまっていないような印象を受けた。主要登場人物たちもいつの間にかフェードアウトしていくような感じで、モヤモヤしたまま終わったようなイメージ。2015/10/05