内容説明
「わたくしたち市民は、次代の社会をになうべき同胞が、社会の一員として敬愛され、かつ、良い環境のなかで心身ともに健やかに成長することをねがうものです。麗しかれかし。潔かるべし」―純潔と遵法が唱和する。「人を守りなさい、人に従いなさい、人から生きる許しを得なさい。そして性愛の奉仕をもって人に喜ばれなさい」―かつて大師父は仰せられた。そして少年が目覚めたとき、すべては始まる。シリーズ第4巻。
著者等紹介
小川一水[オガワイッスイ]
1975年岐阜県生まれ。1996年、『まずは一報ポプラパレスより』で長篇デビュー(河出智紀名義)。2003年発表の月面開発SF『第六大陸』が第35回星雲賞日本長編部門を受賞して以降、骨太な本格SFの書き手として活躍を続けている。また、2005年の短篇集『老ヴォールの惑星』で「ベストSF2005」国内篇第1位を獲得、収録作の「漂った男」で第37回星雲賞日本短編部門を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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文庫フリーク@灯れ松明の火
110
エロい(笑)青少年には刺激強すぎではないか(爆)1巻で革命政府初代首班エランカの背中を押し、「果敢な反抗の姿を見せ続けろ!」とアクリラ・アウレーリアを殴り飛ばした〈恋人たち〉のリーダー、ラゴス。〈恋人たち〉の創造者が、あのアダムスの船を改装したエロ爺さん・ウルヴァーノだとは。軌道娼界ハニカムで目覚めた〈救世群〉議長グレアの夫・ルシアーノの弟キリアン。彼専用の〈ラバーズ〉として創造されたアウローラとゲルトルッド。グレアの「ドロテア・ワット」での失態が〈酸素いらず〉を〈救世群〉の後見人とし、本巻でキリアンが→2014/08/28
みっちゃん
110
電車で読んでて、こんなに人目が気になった本もありません(笑)延々と続くアノ場面にありとあらゆるシチュエーション…作者の妄想力、もとい想像力には脱帽ですが、胸の中で何度「もう十分ですから、話を先に進めて下さい!」と叫んだ事か!でもこのシリーズにとって大事な道程なのですね。大師父の正体には驚かされたし、ラゴスにはこんな「過去」があったんだ!「恋人たち」「救世群」「酸素いらず」が繋がったところで、次はまたまた驚かせてくれるのを期待しています!2014/04/05
いおむ
81
後半まで来ると俄然面白くなる。10代20代の頃に読んだら前半で体力気力切れで挫折しそう(^^;よくこれ1本ネタでここまで書けるものだと尊敬すらしてしまう。とりあえず立ち位置が自分の中で不明瞭だった《恋人たち》のポジションが見えてきた。なるほど!2019/03/04
ケンケン
76
今回は《恋人たち・ラバーズ》が主役の性愛・哲学的なSF作品。ちょっと気分が悪くなるシーンもありつつ、知らぬ間に読み進められました。ラゴス誕生秘話、あの船の本来の使い道、あの偏屈との絡み、そして、いつもの情報知性体の登場と後半が読み応えたっぷりだったかな!2013/04/23
柊龍司@中四国読メの会&読メ旅&読食コミュ参加中
42
《恋人たち》のアンドロイドとしての進化、《救世軍》との関わりが語られ、1巻に繋がる物語がまた一つ。主題がセックスということで、物語を読む側としての敷居が高くなったのか低くなったのかはともかくとして、私は楽しめました。ラゴスの基本はここにあったのか、苫田読み直したくなったけど、続けば続くほど、初巻から読み直したくなるんでしょうね。2012/07/15