ハヤカワ文庫
セドナ、鎮まりてあれかし

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  • サイズ 文庫判/ページ数 336p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784150310189
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

先の大戦の激戦地だった太陽系辺境の小惑星セドナには、今も膨大な数の遺骨が眠る。ゴロこと尾野碁呂空曹は、任務中の事故で脳に障害を負い、この星に赴任した。穏和な老人イーイーさん、旧型アンドロイドのクイミクと、たった3人でセドナに暮らし遺骨を収集する日々。ナノマシンの嵐で独自進化した生態系を持つこの星と、3人の鎮魂の祈りが深く共鳴するとき、ささやかな奇蹟が結晶する―俊英作家の癒しと再生の物語。

著者等紹介

泉和良[イズミカズヨシ]
1976年生まれ。香川県出身。大阪芸術大学音楽学科卒業。ゲーム作家、小説家、音楽家。ゲーム会社にて、グラフィッカー、サウンドコンポーザーとして勤務したのち、“ジスカルド”名義でフリーゲーム作家として活動。2007年、小説『エレGY』で、第2回講談社BOX新人賞流水大賞優秀賞を受賞し、翌年デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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マーム

14
かつて激しい戦闘があった太陽系の辺境の小惑星セドナ。その際に散布されたナノマシンが、戦後約70年という短期間で動植物たちを飛躍的に進化させました。「火の尻尾」「無風榊」「風船トカゲ」など実際にこの目で見てみたいと思えるほどセドナの動植物たちはユニークで魅力的です。そして、この地で兵士の遺骨を収集している「イーイー」とアンドロイドの「クイクミ」の二人に先の大戦で障害を負ったらしい「ゴロ」が加わり、共同生活を始めます。ラストに奇跡を起こすナノマシン。時空を超える人の思念。美しい余韻に浸れる物語だと思います。2011/03/09

またれよ

5
なんだかあったかい気持ちになる物語。先人の築いてきたもの、破壊してきたもの。その末に今がある。この未来、この場所ではナノマシンが想いを伝承する。現実が3000年代になってもやっぱり人は(滅亡してなければ)戦争しているのだろうか。そして祈りを捧げているのだろうか。善悪の判断は抜きにして人間はこの未来のように根っこの部分はいつまでも変わらないような気がするのです。2010/12/02

けいちゃっぷ

4
激戦地だった、太陽系辺境の小惑星・セドナ。 戦争中に大量に撒かれたさまざまなナノマシンが夜には暴風となって吹き荒れる。 そこには多くの戦没者が眠っているが、政治的な思惑により一人の老人と一体のアンドロイドしか住んでいない。 そこへ戦争で脳に障害をおった男が降り立った。 なんか都合が良すぎるファンタジーみたいだし、戦後に生まれたという動植物にも魅力がない。 323ページ 2013/04/16

Gen9

4
太陽圏での戦争から幾ばくかの時間が経過した未来。かつての激戦地であり亡骸未だに数多く眠る惑星・セドナに降り立ったゴロと、変わった星の住民達との物語。講談社BOXで刊行されている氏の作品とはかなり毛色が違うので、読んでみるとかなり驚きます。再生、というキーワードも今までの作品同様に大きな要素になっていますが、それも既刊とは少し違う、とても優しい匂いを感じさせるモノになっていました。障害を負っても、どこまでも軍人で頑張り屋で男なゴロがかっこよかったです。ではさらば2011/06/10

からすとうさぎ

4
科学的・生物学的考証なんて知ったことかと、ただただ想像の赴くままに不思議な光景を書き連ねる「SF」の書き方が、実に作者らしい。氏が10年前くらい前から作り続けているフリーゲームの大部分をプレイしてきたつもりだけど、本作のような露骨な政治主張は初めて見たので、どう受けとめたものか少々戸惑いはした。あるいは、これを「政治的主張」と読み取ってしまうこと自体が、既に色眼鏡なのかもしれない。セドナの置かれた政治的状況は一方的な主観からのみ語られていて、客観的な正当性を取り沙汰素すような話は一切していないのだから。2010/12/02

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