内容説明
なぜ私なの?―賭博師シェルの奸計により少女娼婦バロットは爆炎にのまれた。瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にして万能兵器のネズミ、ウフコックだった。法的に禁止された科学技術の使用が許可されるスクランブル‐09。この緊急法令で蘇ったバロットはシェルの犯罪を追うが、そこに敵の担当官ボイルドが立ち塞がる。それはかつてウフコックを濫用し、殺戮の限りを尽くした男だった。代表作の完全改稿版、始動。
著者等紹介
冲方丁[ウブカタトウ]
1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』でスニーカー大賞金賞を受賞してデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞受賞。マンガ原作やアニメ脚本も手がけ、ジャンルを越境して活躍。2009年、初めての時代小説『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞を受賞。ホームページは、ぶらりずむ黙契録(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
186
普段、あまりSFモノは読んでいない(決して毛嫌いしているワケではありません)のですが、今シリーズはしっかりハマらせていただきました。初読みの作家さんで、本屋大賞受賞作品『天地明察』は恥ずかしながら、まだ未読なのですがなんせ今作は読み始めたら、アッという間にその世界観に没頭し、クオリティの高いアニメ映画(映像化あり)をみているようでした。ただのSF分野に満足するコトなく、キャラの心理描写、人(?)としての成長や挫折などリアルに描かれており、SFを若干敬遠気味な方も、普通に人間ドラマとして読めると思います。2011/12/18
さゆ
171
未成年娼婦のバロットがカジノディーラー兼連続殺人犯のシェルに殺されそうになったところを、万能兵器ネズミのウフコックに助けられ真実を暴いていく話。死に直面したバロットと廃棄処分にされるはずだったウフコックはその生い立ちから、社会において「生きていい」と存在を許されるためには自身の有用性を示さなければならないとして、その理由を求めていく。一方馴れ初めの中で、バロットとウフコックの間に、有用性だけでない価値がお互いに芽生えていくのにも注目。「心の殻を割れずにいるだけだ。あまりに自分を傷つけるものが多すぎて。」2024/11/11
明智紫苑
149
『アノニマス』を読むまでの予習としての再読。オリジナル版を最初に読んだ時からの疑問がある。バロットって、出自の割には(失敬)色々な意味で出来が良過ぎる人なのだ。当人の出生疑惑を匂わす記述もあるし、それらの謎が『アノニマス』で明かされているのか気になる。2016/03/17
ゆんこ姐さん@文豪かぶれなう
108
レンタルショップで何気なく手に取ったSFアニメ作品の原作。筆者が沖方丁ということで読んでみることに。アニメではよく理解できなかった点が小説になると分かりやすく、しかも先にアニメを見ているおかげでキャラクター像がはっきりしているので非常に読みやすい。特にウフコック!金色のネズミで、しゃべり、主人公を励ましてくれる唯一の存在。自由自在に姿を変えられるウフコックは、時にはチョーカーに、時には特殊警棒に変化するのだがそのキャラクターが可愛すぎる!カーチェイスのシーンも緊迫していてハラハラするし、ラストが…!!2015/06/06
ずっきん
89
散々勧められても手に取らなかったのは、まず、主人公が15歳の少女だという設定とこのアニメ風の表紙。未発達の体を強調するような画は、綾波から駿まで生理的に苦手である。さらに少女の成長譚とのレビューを目にするにいたって、リアル『青春の息吹と反逆』みたいなんを家族内に抱えてる現状、うんざりなんである。わたしの読書スタンスは追体験であるが、どうしても第三者的母ちゃん目線になって「あー、はいはい。わかったから、さっさとゴハン食べちゃって」……という壁を軽ーく越えてきましたよっ! 面白えええ!(咆哮) さっさと2へ♪2021/01/26